第91話:ある衝撃の風景3
「…ん……。」
私が目を開けると家の天井と私を覗き込む母さんが見えた。
「優ちゃん。気がついた?」
気がついた?私は寝てた訳じゃなかったっけ?
体を起こして髪をてぐしで整える。
その時後頭部に鈍い痛みが走った。
「いたっ!」
頭から手を離す。ちょっと触った感じコブになってるみたい。
「優、吐き気とかはないか?」
父さんの声が聞こえた。
「別に無いけど…。なんで?」
「お前、頭打ったからな。」
頭?私が?
「あ…。そっか。私、真に…。」
思い出した。真止めたら振り払われて…。それで…。
私は居間を見渡す。居間に居たのは父さん、母さん、舞、榊原さん、八神さんのお父さんと弟さん、神城君とお父さん。
「真は?」
「出ていった。今、巴ちゃん達が探しに行ってる。」
探しに行ったのは…巴ちゃんと嵐君と八神さんか。榊原さんはパソコンでなんかやってるみたいだけど。
「舞、あんたは何してんの?」
「ほへ?私?この子の世話だけど?」
舞は八神さんの弟(たしかあきら君だっけ?)を持ち上げる。
「胸の無いあんたが子供の世話なんて無理よ。」
「胸は関係ないでしょ!それにこれから大きくなるわよ!」
勝手に夢見てなさい。その夢は妄想で終わるから。
「そんなちっちゃな話より、あんた真を探しにいかないの?」
「ちっちゃくない!ちょっと成長が遅いだけ!ってなんで私が?」
「もし三人が見つけられ無かったらあんたの大好きなお兄ちゃんが居なくなっちゃうわよ?」
「大好きだなんてそんな…。」
「あら?嫌いなの?」
「嫌いじゃないけど…。そういう姉貴はどうなのよ!兄貴の事好きなの?」
「好きね。この豊満な胸を張って言えるわよ。自慢の弟だし。」
私は胸を反らしながら言った。舞は確実に私の顔じゃなく胸を見てる。
「私だって…。今は女になっちゃってるけど自慢できる尊敬する兄貴だと思ってるわよ。」
「そんな真が居なくなっていいの?」
「良いわけないよ!」
「あんたは真にくっついて動いてたんだからあんたしか知らない場所何ヵ所か判るでしょ?」
「うん。何ヵ所かある。」
「だったらこんな所に居ないでそこ探しに行きなさいよ。」
「そうだね…。わかった。姉貴は?」
「私は知り合いを使って情報を集めながら動くから。」
「わかった。私、行ってくる。」
舞は居間を飛び出した。やれやれ、手のかかる妹だね…。
「榊原さん、今の状況は?」
「…こんな感じ…。」
パソコンのモニターを向ける榊原さん。モニターには動く点が3いや4つになった。これは探してる面子ね。
捜索班の通った道は赤くなってるみたいね。
私はザッと頭に入れた。
「私の情報も榊原さんに回すから場所絞ってくれる?」
「…判りました…。」
私は居間の扉へと向かう。
「優ちゃん、真君をお願いね。」
母さんの声に私は右手を上げて答える。
居間から玄関に行き外に出ると私は携帯を取り出した。
「あ、雪?今、頭はってんのアンタよね?チーム全員に頼みがあるんだけど。」
『先代ですか?なんですか、なんでも聞きますよ。』
「今からアンタに写真送るからその子を探して欲しいの。場所の特定だけでいいから。」
『判りました。任せて下さい。』
私は電話を切ると真の画像をメールで送った。
さて、私も目星付けてるとこ回りますか。