第88話:ある混乱の桂木家の風景
何故集合場所が家の居間なのか?疑問の集まる中、人も集まった。
まずは我が家の五人。そして神城家から三人。そしていつもの三人。
正直な話、もう結構な人数だ。もう居間のキャパはギリギリだ。
ピンポーン
「真君、お願い。」
「了解…。」
軽く手を洗い台所から玄関に向かう俺。ドアを開けるとそこには…
「あ、お姉ちゃんだ!」
あきら君と会長と知らない人が居た。
「いらっしゃい。お待ちしてました。」
あきら君が居たのは予想外だ。今日も喋り方気を付けないとな…。
「こちら、よろしければ。」
会長から紙袋を渡される。それを受け取った俺はドアを開けて三人を家の中に招き入れる。
案内しながら会長に俺は耳打ちした。
「会長、手を貸して下さい。台所がいっぱいいっぱいで…。」
会長は俺の服装を見た。
「だからエプロンしていたんですね。私で良ければ手伝わせて頂きます。」
「ありがとうございます。」
「ただ、校外では会長は止めて下さい。」
ほへ?
「八神さん?」
「もうちょっと行けますか?」
えっ?会長の名前って…。
「麗…?」
「そ、それは少し恥ずかしいですね。」
「じゃあ麗さん?」
「それで行きましょう。」
「わかりました。じゃあ俺も下でいいですよ。」
「では真さんと呼ばせて頂きます。」
そんな事を話ながら台所に向かう。
「母さん。八神家からのお土産。あと助っ人を一人。」
紙袋を母さんに渡す。
「八神 麗です。手伝わせて頂きます。」
「あらあら。ありがとう。」
こうして、俺、母さん、かい…麗さんで昼食の準備を進めていく。
しかし…人数が人数だけに辛いな…。
「真君。そこのお野菜切って。」
「了解〜。」
「八神さん。お鍋みてもらっていい?」
「わかりました。」
母さんの指示の元、俺と麗さんはひっきり無しに動いている。
「母さん。ゴムが切れた!頼む!」
「いいわよ。」
俺も麗さんも髪が邪魔になるから結んでたんだけどいきなり俺の髪を結んでたゴムが切れた。
「あんまり頭うごかさない様にね。」
「善処するよ。」
髪をやってもらってる間も手を止めてられないから俺は包丁を止めない。
「もう動いていいわよ。」
「ありがと。かい…麗さん。コンロ片方使うんでそっちの鍋も俺が見るからに切る方お願いします。」
「わかりました。真さん。何切ります?」
「そこの魚を開いておいて下さい。」
「これですね。わかりました。」
台所は某鉄人の現場の様な忙しさで動いている。そんななか…
「飯〜!」
「お腹減った!」
「まだ〜?」
等の声をかけてくる居間の面々。
「かい…麗さん…。魚の前にあそこの騒いでる面々を切りますか?」
「そうですね。とても名案だと思います。」
麗さんの目が妖しく光る。
「駄目よ。包丁で切ったら脂で包丁が切れなくなっちゃうから。」
「そうだそうだ!」
「人殺し」
「男女」
「ツインテール!」
「誰がツインテールだ!」
全員の指が俺に集中する。
はぁ?なんなんだこいつらは?
「真君。似合ってるわ。可愛い!」
母さんの言葉に俺は髪を恐る恐る触る。
確かに両手に結び目と垂れた髪の感触がある…。
「か、母さん!」
「似合ってるから大丈夫よ。」
大丈夫じゃねえよ!