第81話:ある海の風景2日目2
「これより西瓜割りをしま〜す」
『わ〜〜い。』
パチパチパチパチ!
巴の一声に沸き上がる歓声と拍手。
「待て!異議を申し立てる!」
嵐を除いて。
「なによ、嵐。」
「なによじゃ無い!どう考えてもおかしいだろ!」
はて?シートの上に置かれた西瓜。その横に頭だけ出して埋められた嵐。なんかおかしいか?
「…別に…。」
「おかしくないかと。」
純と会長の声に皆頷く。
「これをおかしくないっていうお前等の感性を疑うぞ!」
「じゃあ一番始めはあきら君から〜!」
「は〜い。」
「無視かー!」
あきら君に目隠しをしてグルグル回す。
「じゃあ行ってみよう!」
巴があきら君の背中をポンッと押すとあきら君はフラフラと歩き出した。あらし…いや、西瓜に向かって。
「右!右!」
「行き過ぎ。左よ!」
「…そのまま…。」
等、あきら君に指示を出す俺達。
「そこよ!いっけぇ〜!」
巴の声にあきら君は木刀をふりかぶった。
「えいっ!」
あきら君が木刀を思いっきり振り降ろした。
ザシュ…
あきら君が目隠しを取り確認をする。
木刀は西瓜と嵐の間に振り降ろされていた。
「外しちゃった…。」
「おっし〜。」
「もうちょっと!」
トボトボと歩いてくるあきら君を慰める俺達。
「じゃあ次は巴、どうぞ。」
「よし!任せて!」
あきら君から木刀を受け取った巴に目隠しをしてグルグル回す。
「巴。頑張って!」
フラフラ歩き出す巴に声援を送る。
「うん。」
こちらを向いて木刀を突き上げる巴。
「巴!左!」
「…まっすぐ…。」
「右です!」
巴はフラフラと嵐の方に…間違えた、西瓜の方に向かって行く。
「巴!そこ!」
俺の声を聞き巴は木刀を肩にかついだ。
「もらった!」
巴は木刀を横薙ぎに一閃した。
「うおっ!」
動かないなりに頭を下げる嵐の上、西瓜の上を木刀は通過した。
「外したわ…。」
目隠しを取りながら項垂れる巴。
「巴!横はありえないだろ!」
嵐の文句を聞き流しながら巴は俺達の所に戻って来た。
「まこっちゃん…仇をお願い。」
目隠しと木刀を俺の方に出す巴。俺はそれを受け取った。
「仇は取る。」
目隠しをして木刀を握る。
すると体をグルグル回された。しばらく回されて位置が判らなくなった辺りで止められた。
「桂木さん。お願いします。」
誰かに背中を押された。声からして会長だろう。
俺はフラフラと前に歩き出した。
「真お姉ちゃん!ちょっと右!」
右か。歩きながら方向修正をする。
「…行き過ぎ…。」
行き過ぎ?俺は左に修正する。
「そのまままっすぐです。」
よし。方向は合ったみたいだな。後は距離だ。
「まこっちゃん!そこよ!」
おれは立ち止まり木刀を振り上げる。
「ま、真。信じてるぞ。」
「その声は西瓜か?」
「西瓜が喋るか!俺だ!」
「冗談だ。」
俺は一つ息をつくと気合いを入れた。
「死ね〜〜〜っ!」
木刀を思いっきり振り下ろす!
ゴスッ!
よし!手応えあり!後ろからも拍手と歓声が聞こえてくる。
俺は目隠しを取り木刀の捉えたものを見る。
そこには木刀によって割られた西瓜があった。
「ちっ、外したか。」
「当たってるから!何を狙ってたんだよ!」
「何って…。」
嵐をジッと見る俺。
「俺を狙うんじゃねぇー!」
嵐の絶叫が海岸にこだました。