第80話:ある海の風景2日目
昨日に引き続き海にやってきた。ただし巴は横で焼くのに専念してるし純とあきら君は『昨日よりも凄いのを作る』って言って会長を連れて砂の城を作ってる。嵐はどっかに消えた。まぁ何をしに行ったかは想像出来るけど…。
従って凄い平和に過ごしてる訳だ。俺も巴同様に横になってる訳だ。すぐ近くでは砂の城の土台作ってるけど…。
「あっ。忘れてた…。」
巴が起き上がり鞄をあさり出した。何してんだ?
「ま、まこっちゃん。パス。」
巴は俺に向かって何かを投げて来た。俺はそれをキャッチすると投げられた物を見た。
「サンオイル?」
俺に使えって事か?なかなか気が利くな。
「ぬ、塗って。」
そう言ってうつ伏せになる巴。…はぁ?
「自分でやって。」
「塗りむらが出来るでしょ?」
確かにそうだけどよ…。
「他の人に…。」
「誰が居るの?」
ぬおっ!そうだった。今誰も手が空いてないんだ!
「わ、判った…。」
サンオイルを持ち巴の方に行く。なんかスッゲー緊張するんだけどよ…。
「ち、ちょっと待って!」
うつ伏せのままモゾモゾ動く巴。なんだ?
モゾモゾしてた巴は水着の上を外し横に置いた。
「い、いいわよ。やって頂戴。」
「お、おう。」
巴の横に座りサンオイルを手に取る。なんだ?尋常じゃ無いくらい心臓がバクバクいってるぞ。落ち着け!落ち着くんだ、俺!
俺が落ち着こうとしているとサンオイルが一滴垂れた。
「ひゃん!」
巴が可愛らしい悲鳴をあげる。
「なななな、何よ。早く塗ってよ!」
「わ、悪ぃ。」
垂れたのは俺が悪い訳じゃ無いのに怒られた。ってか何故怒られるんだ?そして俺!なんで謝った!
「よ、よし。行くぞ。」
意を決してサンオイルまみれの手を巴の背中に伸ばし触れる。
や、柔らかい…。
俺はゆっくりと手を動かす。
「んっ…あっ……。」
巴が鼻にかかった様な声をあげる。
「ち、力入れすぎか?」
「だ、大丈夫。続けて…。」
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫よ。」
俺は再び手を動かす。巴の肌って柔らかいしスベスベなんだな…。
「…んっ……。」
巴は時たま鼻にかかった様な声をあげるが大丈夫らしいので続ける。
ヤバい…なんかクラクラして変な気持ちになりそうだ。
俺がそんな状況でサンオイルを塗ってると指先に背中以上に柔らかい感触が当たった。それは指がめり込むような感触だった。
「ひゃうん!」
巴の悲鳴に俺は我を取り戻し自分の手を見た。
「わ、悪ぃ!」
俺は一瞬で手を離す。俺の指はうつ伏せになった巴の脇からはみ出ている場所を触っていた。アレだよな…山…だよな…。
「だ、大丈夫よ。事故なのは判ってるから!ちょっと驚いただけだから。」
巴は顔を上げて俺を見る。ん…?巴の顔赤くなってる気がするな。みると背中もオイルにより潤いを帯びて色もうっすら桜色になってる…。
「と、巴。背中は塗り終わったと思うぞ。」
俺は視線を海に向けながらそう言った。
「そ、そうね。まこっちゃん、ありがと。」
巴がモゾモゾしてから立ち上がる気配がした。
「じゃあ、まこっちゃん横になって。」
「…は?」
「わ、私が塗ってあげるから。」
「…え?」
「いいから!」
「…遠慮する。」
「じゃあ俺が塗ってやるよ!」
どこからか嵐がいきなりやってきた。両手を変な感じに動かしながら…。
「「埋まってろ!」」
俺と巴の拳が同時に嵐の顔面を捉え、砂浜にめり込ませた。
まったくコイツは…