第75話:ある別荘の夜の風景
祭りの後会長の別荘に戻った俺達は夕飯を食べ、みんなゆっくりしていたが騒いだ為(俺の件もあり)皆寝てしまった。
俺はそんな深夜と言ってもいい時間に部屋を出た。向かう先は浴室だ。
皆は夕飯の後それぞれ風呂に入った。(風呂から出て来た嵐がボロボロになっていたけど…)俺はその時は一緒に入るのを『まだダルいから』と言って断った。
…ホントはあんまダルく無かったんだけど。…まぁ、アレだよ。
風呂って事はつまり…皆脱ぐ訳で…俺は嵐と違って本能に忠実になれないからな…。
ようは海での着替えの時と同じ理由だよ。知り合いのとか恥ずかしいからな……。
それを見たがった嵐はボロボロになった訳だけどな…。
そういう訳で皆が寝た時間に風呂に入りに来た訳だ。
扉を開け脱衣所に入る。この別荘は風呂は露天風呂らしい。当然男と女は別だ。
なんだかますます別荘ってより旅館って感じだよな…。
服を脱ぎタオルを持って浴場に行く。
「わぉ…。」
目に入るのは石を組んで作られた湯船と3つのシャワー。そして満天の星空と綺麗な月。
そして何故か一部が崩れている境の壁。多分嵐が原因なんだろうな…。
俺はまず汗を流す為にシャワーの所に行った。
俺が女に変わってしばらくして気付いた事なんだけど髪を洗うのにえらい時間がかかってるんだよな。シャンプーとかも減りが速いし…。困ったものだ。
髪を洗い体を流す。うん。体触ってみても痛い所は特にないな。痛むのは口の中だけだ。夕飯は塩分が染みて辛かったな…。
さて、お湯につかるか…。シャワーを止めて露天風呂に向かう。
…髪邪魔だな。
濡れた髪が濡れてる肌にくっついてくる。あんまいい感じじゃないな…。俺は適当に纏めてタオルを巻いて髪を止めた。
そこまでしてから俺は露天風呂に入った。
「あぁぁ〜〜。」
気持ちいい〜。疲れが体から溶け出して行く感じだ。
縁に頭を置いて上をみるとたくさんの星と大きな月が見える。家の方とは違って空気が綺麗なのか見える星の数が全然違う。
「やっぱ露天風呂はいいな…。」
空を見ながら足を伸ばして一人で風呂に入る。贅沢だよな。
目を閉じて聞こえるのは風の音と木の葉の揺れる音。浴槽に流れるお湯の音。
ガラガラガラ…
そして扉の開く音。
………ん?扉の開く音…?
誰か入ってきた!全員寝てると思ったのに!
俺は何故か判らないけど音を立てないように急いで浴槽内の岩影に隠れた。