第73話:ある静かな子の心情
天城さん、赤井君、八神会長がそれぞれ男の人を相手にしてるなか私はあきら君と桂木さんの様子を見ています。
私?純です。
でもまさか着替えの時に仕込んだ発信機が役に立つとはおもいませんでした。
世の中判らないものです。
桂木さんは口の中を切ったみたいで口から血が出ています。そして両頬が赤くなってる事から殴られた場所が容易に判断出来ます。
「純お姉ちゃん。真お姉ちゃん大丈夫なの?」
今にも泣きそうな声であきら君が聞いて来ました。
「…大丈夫…。」
私はあきら君にそう言い微笑みました。
あきら君は少し安心したようでホッと息つきました。
私は桂木さん達と一緒に行動する様になって変わったと思います。桂木さん達と一緒に居ると楽しく思います。
桂木さんへの想いがバレバレだけど必死に隠そうとする天城さん。
いつもは生きてる価値すら疑わしいけどここ一番には頼りになる赤井君。
ここには居ないけれど口ではなんだかんだ言っているけど桂木さんを心配している舞ちゃんと桂木先生。
そしてそんな人達の中心にいる口や生活態度はあまり良くないけれど困っている人を放って置けない優しい桂木さん。
この人達と一緒にいるのは楽しい。
そんな中心人物が今は倒れている。私は喧嘩は出来ない。だから私の出来る事で助けて上げたい。
私は巾着からハンカチを取り出して桂木さんの口元を拭く。ホントは水があればいいのだけど離れる訳にはいかない。
なんとか口元の血を拭き取る。そして今度は巾着からピンを取り出して桂木さんの浴衣を留めた。
「…ふぅ…。」
私は一息付いた。
「まこっちゃん!」
「真。」
「桂木さん。」
声に気付いて私が顔を上げると天城さん、赤井君、八神会長がこちらに向かっていた。3人とも無事らしい。
「…大丈夫…。心配ないわ…。」
私は3人にそう言った。3人の相手を見ると全員無惨に倒れていた。
まぁ当然の報いだから同情はしません。
天城さん、赤井君、八神会長は桂木さんを見てホッと一息つきました。
「…どこかに移動を…。」
私は3人に提案する。どこか落ち着ける場所で桂木さんを休ませたかった。
「そうね。どこかに移動しましょ。」
「上の境内はどうだ?」
「いえ、境内はカップルばかりですから落ち着けません。」
「それはそれで言ってみたいな。」
「嵐!」
皆さんの雰囲気が何時ものに戻ってます。ただ赤井君を止めるのが天城さんになってますけど。
「…赤井君、桂木さんを…。」
私がそういうと赤井君は頷いて桂木さんを背負いました。
私達は倒れている3人は完全放置でこの場をはなれました。