第71話:赤鬼のお仕置きの風景
赤井 嵐vs赤い男
「男はあんただけだからあんたが【赤鬼】さんか?」
「前はそう呼ばれてたな。」
俺達は中学の一年から三年までよく喧嘩をしてた。正確には喧嘩を売られてたんだけどな。
売ってくる相手を返り討ちにし続けているうちに確かに【赤鬼】なんて呼ばれるようにはなった。
「さっきの電話じゃ知らねえって言ったけど思い出したぜ。」
俺の目の前にいる赤い髪の男はニヤニヤ笑いながら言った。
「先輩から聞いた事あるぜ。【赤鬼】と【金色夜叉】。たしかそんな二人が居るってな。」
【赤鬼】は俺。【金色夜叉】は真の事だ。喧嘩を売ってくるやつらが勝手にそう呼んでた。
「あんたを倒したら俺が【赤鬼】になっていいのかぁ?」
男は赤く染めた髪を指でいじりながら聞いてきた。
髪が赤いから【赤鬼】か。
「勝手にしろ。」
俺がコイツと話したいのはそんなくだらない事じゃない。
「お前に聞くぞ。殴ったのはお前か?」
「はぁ?」
「あいつを殴ったのはテメエかって聞いてんだよ。」
俺は真を指しながら聞いた。
「あぁ。俺だよ。うるせえから黙らせたんだよ。それがどうした?」
コイツは気付いて無いだろうな。今の言葉が自分の死刑執行のサインだって事をな。
「そうか。判った。」
俺は出来るだけ冷静にそう呟いた。
首を鳴らし指を鳴らす。
「やんのかよ!来いや!」
男は両手を顎の辺りに構え拳を軽く握った。なかなか様になってる構えだ。ジムでトレーニングしてるんだろう。
男はやや前傾姿勢でおれに突っ込んできた。
そして俺の顔に右ストレートを放つ。俺はソレをまともに喰う。
棒立ちの俺に男はどんどん殴りかかる。
左右のボディの連打から左フック。そして右のアッパー。俺はのけぞる。
「ちっ!」
「噂の【赤鬼】はこんなもんかよ。」
男は俺から距離を置きそういった。
俺は口元を拭い男を見た。
「よく判った。アイツ本当に体調悪かったんだな。」
俺は首をコキコキと鳴らす。
「テメエ!何言ってんだ?殴られて頭やられたか?」
男は再び距離をつめて右を打ってくる。
たださっきと違うのは俺が殴り返した事だ。
男の右ストレートがあたる前に俺の右ストレートが男の顔面を捉える。
「うらぁ!」
そのまま右腕を振り抜く。男はその場で一回転した。
男の襟首を掴み強引に立たせる。
「何発だ?」
「ひゃ?」
男は一発で歯が折れていた。カルシウムが足りないな。
「あいつを何発殴った?」
「ろっ、6発くらい…」
「そうか。」
つまりあと5発だな
男から手を離してまず顔面に左右のフックをぶちこむ。
そして今度はアバラに左右のフック。手には折った感触が伝わる。
最後に右のアッパーを男の顎に。砕ける感触と共に男が宙に舞う。
ドサッ
男は3、4m程後ろに吹っ飛んで地面に落ちた。ピクピクしてるから死んじゃいないだろう。
…埋めるか…
俺は男の所に行って穴を掘り出した。