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第67話:ある緊急事態の風景

今回は巴の視点でお送りします

嵐が両手にいっぱいに屋台で買った食べ物を持って私達が歩いて居ると私の携帯が鳴った。


♪〜♪〜♪〜


「巴、いつ聞いてもそれは女子高生の着信音じゃないぞ。」


「いいでしょ。」


私の携帯が奏でるのはあるレスラーね入場曲。いいでしょ、あの人が好きなレスラーの曲なんだから


私は携帯を巾着から取り出し液晶を見て通話ボタンを押した。


「もしもし。」


「…………。」


向こうからの反応は無かった。


首をかしげ私は液晶を見る。液晶は通話時間を淡々と刻んでいる。


「如何なさいました?」


会長が私の様子を不信に思い声をかけてきた。


「向こうからなにも言わなかったんです。もしもし?」


会長に状況を話し、携帯に話かける。


『………っ……った。』


携帯から声が聞こえた。なんか男の人の声っぽい。なんか嫌な予感がする…。電話をかけてきたのは今の女の人だったから…


私は周りを確認する。人が多すぎる!私は携帯を耳に当てたまま人のいない方に走りだした。


私の様子を見た嵐と純と会長。会長に手を引かれたあきら君がついてくる。


私は人気の無いところに来ると疑問の視線を向ける皆を制して耳に全神経を注ぐ。


『こいつ……の割にはたいした……な。』


さっきよりも声がしっかり聞こえる。やっぱり聞き覚えの無い声ね。


『おい……過ぎじゃないか?』


『そう……見た目はいい……血出て……。』


さらに声が聞こえた。さっきの人とは違う感じがする。つまり電話の向こうには最低でも四人ね。でも電話の持ち主の声が聞こえない…。


焦る心を私は落ち着かせる。大丈夫よ。あの人がやられるはずないわ。


『しかし美人だなぁ。この金髪も地毛みたいだしな。』


声が近付いた。今回のははっきり聞こえた。


地毛の金髪…。あの人と一致してる。


『ああ、黙ってれば美人だ。海であんな事言ってたとは思えないぜ。』


もう一人の声もハッキリ聞こえた。


『ここでするか?』


寒気のする声で聞きたく無い言葉を言われた。状況はヤバいみたい…。


「純。」


私は耳は外さず通話口を抑えて純を呼ぶ。もう良識と常識を考えてられなくなったわ。


「あの人の現在地を。GPSからでも発信機でもいいから早く。」


私は小さな声で言った。純は無言で頷いた。


純は手に下げてた鞄からPCを取り出した。


「嵐。」

「わかった。」


私は今度は嵐を呼んだ。嵐は持っていた食べ物を全部食べて何も聞かずに頷いた。長い付き合いだからわかったみたい。


携帯からは不快な言葉が聞こえて来ていた。


『ここじゃマズイ』

『逃げられる』

『逃げられない恰好にすればいい』


等々…。


「…見つけた…。」


PCを使い出して3分位して純が呟き画面を見せた。


「これはこの神社の境内の階段近くですね。」

会長がそういう。こういう時に土地勘のある人が居ると助かる。


私は携帯に向かって叫んだ。


「そこのやつら!まこっちゃんに手を出したらタダじゃすまさないわよ!」


私は…私達は走り出した。境内の階段に向けて!


絶対許さない!

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