第62話:よくある海の風景5
「いやー、遊んだ、遊んだ。」
「やっぱり海はいいわね。」
「そうですね。いい運動になりますわね。」
私達はしばらく海で泳ぎ、疲れたので戻る所です。
どうも、巴です。
「なぁ、なんかあそこ凄い人が集まってないか?」
嵐の言うあそこに私と八神会長は目を向けました。確かに人が集まっています。方向的にはまこっちゃんがひいてくれたシートの方です。
「なんでしょう?気になりますね。」
「見に行きますか?」
私の提案に同意する二人。
砂浜の暑さを足に感じながら私達は歩いて行きました。
「なんだこりゃ!」
「うわ…スゴ…。」
「凄いですね…。」
私達の眼前には砂のお城がありました。なんて言ったらいいのか…雪祭りに出せそうなお城です。高さは2m位。縦、横は3m位ある砂のお城私達の目の前にそびえています。
「なぁ、あそこに広げてあるの俺達のシートだよな…。」
確かに嵐の言う通り、お城の横には見覚えのあるシートの上に見覚えのある荷物が置いてあります。
「でも榊原さんの姿が見えませんね。」
「はい、そうですね。」
あれかな?飲み物でも買いに行ってるのかな?
「あ!お姉ちゃ〜ん!」
「…あ、おかえり…。」
噂をすればかな?あきら君と純が出てきた。…お城のかげから…。
「ただいま、あきら。いい子にしてた?」
「うん!いい子にして真お姉ちゃんと純お姉ちゃんと砂遊びしてた!」
砂遊び…。少なくともこのお城は遊びじゃないわね…。
「ねぇあきら君。何を作ったの?」
「おしろ〜!」
「あきら、そのお城はどこにあるんだ?」
「これ〜!」
あきら君の指差す先にあるのは…はい、目の前のお城です。
「榊原さん。これをお作りになられたのですか?」
「…はい…。」
ハハハハ…。ありえない…。だってこのお城凄いよ?なんか写メ撮られまくってるし…。
「だから連れがいるの!しつこい!」
あ、まこっちゃんが戻って来たみたい。なんかまた男の人に声かけられてるみたい。
私は嵐を軽くつつく。嵐もわかった見たいで軽く頷いた。
「真!こっちだ!」
嵐がまこっちゃんに手を振る。まこっちゃんも私達に向けて手を振りながら歩いてくる。
「そういう事なので、失礼します。」
まこっちゃんがやってくる。男達からは
「連れの子も可愛いな。」
とか
「野郎と一緒かよ。」
とか聞こえる。
「まこっちゃん、モテモテね。」
「あんな人達にモテても嬉しくありません。」
まこっちゃんは手に持ってたジュースを皆に渡す。なるほど飲み物を買いに行ってたんだ。
「ねぇ、これ作ったって本当なの?」
「ええ、本当です。あきら君と純と3人で。」
いや…あなたたち凄いわ…。
結局砂の城はその日の注目を一斉にあびていました。
私達は視線に耐えきれず場所を移しました。