第57話:よくある旅行の風景
はい、やってきました。旅行です。海です。別荘です。
「皆さん、これが各部屋の鍵です。部屋に荷物を置いたらもう一度こちらにお集まり下さい。」
会長は各々に鍵を渡してきた。
…個室は予想外だ…。何部屋あるんだ…。
「お部屋は皆様二階になっております。鍵に部屋の番号が書いてありますので。」
二階か。行くか。
俺達はぞろぞろと階段を上がり二階に上がり自分達の部屋に入った。
荷物を置いてベッドに座り部屋を見る。
窓からは海が見える。部屋の中はベッドにクローゼット。それとソファーにテーブル。
そのままベッドに仰向けになり天井を見る。
なんだかホテルの部屋って言われても納得しそうだ。
コンコン…ガチャ…
「まこっちゃん、下行こう…」
開けたのは巴みたいだな。
「まこっちゃん!足閉じて!見えてる!」
「なに!」
慌てて足を閉じて上体を起こす俺。
これだからスカートは…
「まこっちゃん。ガード甘いよ。気を付けないと…。」
「知るか!元々男だったんだからガードもなにもないだろ。」
俺は立ち上がり巴の方に行った。
「あと喋り方も。あきら君が怖がるから。」
「わかったよ。」
「判ってない。」
今からもう喋り方変えるのかよ…
「わかりました。」
「うん。それでいいのよ。じゃあ下にいきましょ。」
俺は巴の後ろに付いていき下に降りた。
下にはもう皆揃っていた。
「これからいかがなさいます?」
「「海行こう!」」
会長の言葉に被せ気味に答えたのは巴、嵐、あきら君の三人だ。
「海ですか。私は構わないのですがあとのお二方はどうですか?」
会長は俺と純を見た。
「…構わない…。」
「俺…私も…。」
二人とも同意する。
肩を震わせてる巴と嵐。後で覚えてやがれ…。
「わかりました。では海に行きましょう。」
俺達は再び荷物を取りに二階に上がる。
階段で俺は一番後ろだった。前には嵐がいる。
俺はごく自然に嵐の足を引っ掻けた。
「ぬぉぉぉ!」
ドドドドドー!
予想を裏切らず豪快に転けて階段を落ちる嵐。俺は巻き込まれない様に横に避けている。
「あらし兄ちゃん!大丈夫?」
上からあきら君が心配そうに嵐を見ていた。
「楽しみだから浮かれてるだけよ。心配ないよ。」
あきら君にそう言う俺。嵐は何か言いたそうだけど痛みの為下でのたうちまわってる。
いいきみだ