第5話:ある朝の風景4
今俺はゆ〜ちゃんの部屋にいる。部屋の中はとくに飾りっけもなくシンプルな部屋だ。
その部屋の中で俺は今……。
着せ替え人形にされている…。
「あんた結構似合うわね。スタイルよく女になったから。」
ゆ〜ちゃんが出す服はあきらかにゆ〜ちゃんが着なさそうな服ばかりだった…。
「なんでこんなの持ってんだよ…」
何度目だかわからない溜め息をつく俺。
「あんたに着せたら楽しそうだったからよ。まさか使う日がくるとは思わなかったけどね。」
意味がわからない…。ようするに男に着せようとしてたって事なんだろうか?
悪いがそんな趣味は一切ない。
こんな体にさえならなければだが…
「こんなもんでいいでしょ。」
そういって渡されたのはジーンズに薄手のジャケットだった…。
「スカートがいやだっていうんだからこれならいいでしょ?」
渡されたのは自分でもまあ着ても…って思えるものだった。
我が侭をいったわけじゃないぞ。ただヒラヒラの異常に着いた服とか尋常じゃなく短いスカートが始めに出されたんだよ。
「これならまぁ…。」
俺は服を脱ぎだす。そうすると目の前に布が二つ飛んできた。
「下着は今日は私の貸してやる。サイズはわからないから合わなくても文句は言うなよ。」
こうして俺はゆ〜ちゃんの指導の元着替えていった…。
その様子は……言いたくない…。視界がボヤける…。アレだ、心の汗だ…
色んな所に違和感を感じながら着替えた俺は自分の部屋に行き勉強道具をもち下に降りていった。
「あら、真くん。すっかり普通の女のコね。」
笑顔を浮かべる我が母親。
なんか…悲しい。
気持ちを落ち着かせる為コーヒーを飲む。
「あれ?ここでいきたえてた舞は?」
「舞ちゃんなら部屋に行って用意をしてるわよ。」
ふーん。あいつも案外タフだな。あんだけのダメージ受けながら学校に行けるとは…。
ダメージ……?あ、忘れてた…。
「母さん、ドアが壊されたのと鏡が割れてから買いたいんだけど。」
そう。鏡はともかくドアは修理してもらわないと非常に困る。
「だったら今日買い物に行きましょう。真くんも買うものたくさん増えた事ですし。」
……たしかに…。
こんな体になったせいで買うものは多いな…。
学園内は私服だからそれもあるし…。下着もか……。面倒だ…。時計を見るとそろそろ時間だ。コーヒーをのみカップを母さんに渡す。
「気が重いけど行ってくるよ…。」
「はい。いってらっしゃい。」
リビングから2階にあがる。
「舞、置いて行くぞ。」
扉をノックして舞を呼ぶ。
「今行くから。」
ピンポーン♪
「まことー!学校いくぞー!」
「まこっちゃーん!行くよー!」
朝から元気なヤツらが来たようだ。
しょうがない…。行くか…。