第54話:よくある相談の風景
「会長の話どうする?」
「…悪い話じゃない…」
「行こうぜ。」
「まこっちゃんはなんで悩んでるの?」
今俺達は俺の部屋で会長の話の相談をしている。
「旅行じたいはいいんだ。ただあきら君がいるからさ…」
あきら君がいるという事はだ…
「ああ、真あの口調が辛いのか?」
嵐の言う通りだ。あきら君は俺の普段の口調だと怖がるんだ。だからな…。
「そういう事ね。」
巴がニヤニヤしながら俺を見る。…なんだ?気味が悪いな…。
「ここで私はテストの景品を使うわ。まこっちゃん。旅行行こ。」
ぐっ…。巴め…、変な知恵つけやがって…。
「…私も使う…」
「純。どういう事だ。」
「…旅行の際、女の子な恰好で……。」
ぐおっ…。なんて事をいいやがる…。
「…具体的にはスカート。ミニで…」
「待ったぁ!」
思わず叫ぶ俺。
「…なに…?」
「ス、スカートは許して……」
「ダメ。まこっちゃん。あきらめよう?」
「真、お前は約束を守れないやつだったのか?」
こ、こいつら…。なんでこんなにチームワークがいいんだ…。
「………ょ…。」
「…聞こえない…」
聞こえないはずがない。純は俺の横にいるんだから。
「わかったよ!」
くそ!目が熱くなってきた…。心の汗だな…
「じゃあ会長の所に電話する…」
俺は携帯を取り出し会長の家に電話をかけた。
プルルルル…プルル…ガチャ…
微妙なタイミングでとったな…
『はい、やがみです』
こ、この声は…
「あきら君?」
『はい、そうです。誰ですか?』
やっぱり…。電話に出たのはあきら君だ。って事は…。
周りをチラッと見る。うわぁ…なんか期待した目で俺を見てるよ…。言いたい事は判ってんだよ!
「久しぶりね。真お姉ちゃんよ。」
『まことお姉ちゃん?うん。久しぶり!どうしたの?』
「あきら君のお姉ちゃんに用事があるんだけどいるかな?」
『お姉ちゃん?ちょっと待ってね。お姉ちゃ〜ん。電話だよ〜!』
受話器の向こうからあきら君の大きな声が聞こえる。
お前等!肩震わせてんじゃねえよ!
『お電話代わりました。麗です。』
「あ、会長ですか?桂木です。」
ふぅ…ようやく普通に喋れそうだな。
『桂木さん?昨日のお返事かしら?』
「そうです。迷惑じゃなければご一緒します。」
『迷惑なんてとんでもない。あきらも喜ぶわ。』
こうして旅行に行く事になった