第46話:よくあるテスト前の風景
7月。夏休みを目前に控える1学期の終わりの月だ。みな夏休みの予定を立ててうかれ……られない。
なぜなら期末試験があるからだ。
「まこっちゃん!ヘルプ!私に救いの手を!」
試験前は巴が壊れだす。よくある事だ。
「なに?そのいつもの光景だ。みたいな視線は?」
俺に詰め寄る巴。半泣きだ。
「まことーーー!助けてくれ!」
そしてもう一人やって来た。クール便で送ったはずの嵐だ。
「2人共落ち着け。どこが判らないんだ?」
「全部!」
「英語以外!」
言っておこう。最初のは巴で次のが嵐だ。
「お前ら……。」
頭が痛くなりそうだ。とてもじゃないが教えきれん。
「榊原さん!」
俺は榊原さんを手招きして呼ぶ。
「…ん?何…?」
「巴と馬鹿がヤバい。手を貸してくれ。」
多分これが一番わかりやすい説明だろう。
「……構わない。どうしたら…?」
榊原さんは頷き聞いてきた。
「今日からテストまでの3日間空いてる?空いてるなら泊まりで勉強会を開くからきてほしい。」
巴と嵐の表情が曇った。勉強会は毎回やっているから内容はわかってるからな。
「……ちょっと待って…。」
榊原さんは手帳をめくる。予定の確認か?
「……空いてる。桂木さんの家…?」
俺は頷く。
「……場所知らない…」
あ、そうか。榊原さん来たことないからな。
「じゃあ今日一度帰って準備して駅に来てくれ。」
頷く榊原さん。
「……わかった。」
そう言うと榊原さんは自分の席に戻って行った。
ふぅ…。2対2なら問題ないだろう。あとは……
「お前ら、わかってるよな?」
俺は巴と嵐を見る。二人とも覚悟を決めたみたいだな。
「またやるんだな。」
「地獄ね…。」
同時にため息を吐く2人。
「お前らがもうちょい出来ればこんな苦労はしないで済むんだよ!」
「うっ!」
「あう…」
まったく困ったもんだ。
俺は携帯を取り出し電話を家にかけた
プルルルル…プルル…
『はい、桂木です。』
「母さん、俺。真。」
『あら、どうしたの?』
電話に出たのは母さんだ。母さん以外が出たら焦るけどな
「今日から3日間、勉強会するから。3人分多くよろしく。」
『3人?2人じゃないの?』
「教える側が1人増えたから。」
『はい、わかりました。準備しときます。』
プーッ…プーッ…ピッ
電話をきり2人を見る。
「話は付いた。やるぞ。」
こうして勉強会は始まる