第45話:よくある駅前の風景4
今、俺達は八神会長達と一緒にファミレスに来ている。
「びっくりしました。私の携帯に見知らぬ番号から電話がかかってくるものですから。」
どうやら嵐は会長に電話をしたらしい。
「って、嵐!番号知ってるなら始めから電話しなさいよ!」
巴の怒りも最もだ。始めに電話してればもっと早く解決できたんだからな。
「いや…会長の番号手帳に書いたのすっかり忘れてて…。」
嵐が渇いた笑いを浮かべながら答える。
「何はともあれ、あきらを保護して下さり感謝してます。」
会長は俺達に頭を下げる。
「でもあなた方がそういった事をなさるとは…。噂とは当てにならない物ですわ。」
「会長。その噂って…?」
俺は会長に聞いた。普段自分の噂なんて聞く事ないからな。
「喧嘩をよくしており授業を抜け出し、毎朝騒動の中心にいる生徒と。最近では爆発騒ぎに関わりがあったとの話も伺っております。」
なるほど…。朝の騒動は多分勧誘だな。で、爆発騒ぎは体育祭か。
「その噂から察するにとても人助けなどなさらない方だと思っておりましたので。」
まぁ、そんな噂が流れる人ならそう思われるよな。実際噂じゃなく事実だしな。
「あ、本人を目の前にして申し訳ございません。現にこうして弟を助けて頂いたきましたのに」
会長は俺に頭を下げる。俺はがらにもなく少し慌ててしまった。
「や、そんな。頭下げないでください。」
「……珍しい…。」
榊原さんがボソッとつぶやいた。俺だって予想外の事があれば慌てるわ!
「いずれ私からもこのお礼はさせて頂きますわ。」
「さあ、料理も来た事ですからお食べになって下さい。」
会長のお母さんはみんなにそう言った。ご厚意で昼飯を奢ってもらった。奢りと言われると遠慮してしまい俺は軽くしか注文しなかった。嵐は遠慮なんてしてなかったけど…。
―――――
「真お姉ちゃん!ありがと!バイバーイ!」
ファミレスで昼飯を食べた俺達は八神会長達と別れた。
あきらは俺達にずっと手を振っていた。俺達もあきらが見えなくなるまでずっと手を振っていた。
会長とは始めて普通に会話をしたが噂とは違い楽しい人だった。今度お礼をするからと俺達全員と番号、アドレスを交換した。
やがて八神親子は角を曲がり姿が見えなくなった。
「あ〜!やっと普通に話せる!」
俺は大きく伸びをした。あきらが怖がるからずっと喋り方を変えてたからスッゲー疲れた…。
「まこっちゃん、お疲れ様。」
「……お疲れ様…。」
「聞いててなかなか面白かったぞ。」
3人に声をかけられた俺。
「うるせー。俺だって自分で寒気がしてたんだよ!」
俺はとりあえず嵐を蹴り飛ばした。
「ギャフ!……な、なんだいきなり!」
飛ばされた嵐は俺に抗議をしてくる。
「いや、あきら君が居たからお前を殴れなかったから今殴った。」
「殴ってない!蹴ったじゃねぇか!」
「じゃあ今から殴る。」
嵐は首を凄い早さで横に振った。
変に肩の凝った休みだったな……