第44話:よくある駅前の風景3
人探し。駅にて……
「まず電車でここまで来ました。」
俺の頭の上であきらが言う。
「だったら迷子の案内してもらいましょう。」
『お客様に迷子のご案内です。…八神 あきら君を預かった。返して欲しければ身代金を用意しろ。この事は警察には言うグハァ!』
ドン!ガラガラガラガラ〜。
『や、八神 あきら君のお母さん、お姉さん。いらっしゃられましたら駅員までお願いします。』
解説します。始めのアナウンスは嵐だ。で、途中の音は俺と巴が蹴っ飛ばした嵐が壁にぶつかり棚の物が落ちた音。最後のアナウンスは俺だ。
「嵐さん、今このばでシバキ倒して死ぬより恐ろしい目に合わせますよ?」
「すいません。マイクを持ったらつい…」
地面に額がめり込むほど頭を下げる嵐だった。
人探し。喫茶店にて………
「次はこのお店に入った。」
喫茶店か。入って話聞くか。
「すいません。迷子を探している女性2人を見ませんでしたか?」
店内に入り目に付いた女の従業員に聞く。
「いえ、そういった方は…。」
「あ、そうですか。お仕事中に失礼しました。」
従業員に頭を下げる。
「すいません、私ケーキセットをチーズケーキと紅茶で。」
「……ブルーマウンテン…」
「ナボリタンひとつ。」
「僕はチョコパフェ。」
「注文はまた今度!行くよ!」
ブーブー!ブーブー!
ああ!煩い!次だ次!
人探し。駅前にて………。
「それでその後ここで真お姉ちゃんに会った。」
俺達は再び駅前に戻って来た。そろそろ昼時な為さっきよりも人が増えてる。
「やっぱここを探すしかないわね。みんな会長の顔はわかるんだから手分けして探しましょう。」
俺の意見に皆頷いた。
散らばる俺達。
「あきら君。ママとお姉ちゃん見える?」
俺はあきらを肩車して広場をウロウロしていた。
「見えない…。」
少し泣きそうな声であきら君は答えた。
「ゆっくり探そうね。焦らないでいいから。」
俺は暫くウロウロした。
巴は近くの店の人に話しを聞いていた。
「すいません。この辺りで迷子を探してる様な女性の2人組見ませんでしたか?」
「うーん…。ちょっと見てないな。」
店員にお礼を言い次の店に行く巴。
嵐は通る人に声をかけていた。
「お姉さん。今暇かな?」
「…………。」
無言で嵐の前を通り過ぎる女性。
直ぐ様別の女性に声をかける嵐。
声をかけるが話は誰も聞いてくれなかった。
純は通る人を見ていた。
「……………。」
ただ静かに見ていた。
俺達は集合した。表情を見る限り見つかって無いな。嵐に関しては両頬に赤い手形が付いていた。
「よし!こうなったらこの赤井嵐!最後の手段を使う時だ!」
何故か嵐のテンションが高い。
嵐は俺達から離れて5分位で戻ってきた。
「何をしてたの?」
俺は嵐に尋ねた。
嵐はニヤッと笑うだけで何も答えなかった。不安だ…。
だが嵐の最後の手段は凄い効果を発揮した。
「あ、ママ!お姉ちゃん!」
俺の頭の上であきらが手を振ったからだ。