第42話:よくある駅前の風景
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よく晴れた日曜。時間は朝9時50分。普段ならまだベットで堕眠を貪っている時間だ。つまり……眠い。
なんでこんな時間に起きてるのかと言うと…
「なぁー、日曜遊びに行こうぜ。」
と嵐が言い出したからだ。
「日曜、10時に駅前な。」
そう勝手に決めた嵐。
そういう訳だ。メンバーは俺、巴、嵐、榊原さん。そして今は待ち合わせの10分前……。何故誰も来ない…。
あたりを見てもそれらしき人は来てない。来るのは……
「ねえ、お姉さん暇してんの?」
って感じでくるチャラいヤツだ。ちなみにこいつで3人目だ。
「ねえねえ、暇なら遊ばない?」
「遊ばない。」
「そんな事言わないでさー。」
「遊ばない。」
「少し位いいだろ?」
「ごめんこうむります。」
なんでこんなしつこいんだよ…。邪魔だな……。
「チッ、調子乗りやがって。」
ナンパ男は俺から離れた。
やれやれと一息つくと袖を引っ張られる。
「なんだ?いいかげん…に…?」
またナンパかと思い振り返ると誰もいなかった。ただ袖はまだ引っ張られている。下を見ると一人の小さな男の子が泣きながら袖を引っ張っていた。
男の子は大声で泣き出した。
「え〜〜〜〜ん!」
って、え?なんだ?
周りの人が俺を見る。
「こら、泣くな。泣き止め。」
男の子を見下ろしながらそう言うが泣き止まない。ま、マズイ。周りからの視線が…。そして早く誰か来てくれ!
俺は一度周りをみてあいつらが来てないのを確認する。頼む今来ないなら遅刻してくれ!
そして男の子の前にしゃがみ目線を合わせ軽く咳払いをする。
「僕?どうして泣いてるのかな?お姉ちゃんに教えてくれるかな?」
男の子に笑顔を向けてそう尋ねた。
こんな所見られたら嫌だな…。何言われるか…。
「ヒック…ヒック…ママと…ヒック…はぐれて……ヒック…。」
男の子は泣きながらそう答えてくれた。
「そっかママとはぐれちゃったんだ。」
男の子はコクンと頷いた。
「じゃあお姉ちゃんがママを一緒に探してあげる。」
…ハハハ。……なんだか自分で言いながら寒気がしてきたな…。
「ヒック…ホント…?」
男の子が俺を見てくる。これで嘘とか言ったらスッゲー泣くんだろうな。言わないけど。
「ホントよ。あ、私は真って言うんだけど、僕のお名前をお姉ちゃんに教えてくれるかな?」
「まことお姉ちゃん…?…あきらです。」
袖で涙を拭きながら答える男の子…あきら君。俺はハンカチを出しあきら君の涙を拭いてやる。
「あきら君ね。じゃあママを探しにいきましょう。」
立ち上がりあきら君に手を差し出す。
「うん。」
あきら君は俺の手をギュッと握って来た。
俺は空いてる手で携帯を取り出しメールを打った。
『所用が出来た。3人で遊んでくれ。』
………送信完了。
俺の後ろから聞こえる2つの着信音………。
タイミングよすぎだろ…。まあ、偶然近くに居る人のがなる事もあるよな…。
「巴、なんでバイブにして無いんだよ!」
「あんただって鳴ったじゃないのよ!」
後ろから聞こえる聞きなれた声。
「……桂木さん。」
もう一つ聞きなれた声。
「……いつから居たの?」
「今来たばっかりです。真お姉ちゃん。」
巴。声かけろよ。
「なかなか貴重なものが見れたな。」
嵐、後でしばき倒す。
『お姉ちゃんに教えてくれるかな?』
け、携帯ムービーは許して下さい!マジで!
「今来たばっかりです。真お姉ちゃん。」