第40話:よくある体育祭の風景(宝探し編13)
走る俺達を追う舞達。ゴールはもうすぐだ。
「兄貴!待て!」
「この世の中待てと言われて待ったヤツは居ないぞ!」
走りながら律義に舞に返事をしてやる俺。
俺の横を走るのは巴とゆ〜ちゃん。そして人を引きずったままのロボ。いいかげん離してやれよ…。
嵐は入口の所から出て来ない。多分落ち込んでんじゃないかな?
「じゃあ、待つな!」
「よし、わかった!」
「う〜!」
舞が唸ってるけど一切気にせず走る俺達。
「こうなったら最終奥義!」
舞が何をするつもりかは知らないけど走るのは俺達のほうが速い上に俺達の方が前に居るんだ。当たるはずない。
「ダンジョンの入口で買ったこの未鑑定品の『薬?』を!」
薬?イヤ雰囲気がしたから俺は舞をチラッと見る。
「未鑑定品を人に使うな!ってかその薬はマズイんだ!」
舞は瓶を3つ持っていた。
「え〜い♪」
舞の投げた瓶は放物線を描かず一直線に飛んできた。
ドッカーン!
俺を中心に爆発とともに煙りがあがった。
ただ今回は痛みが無い。これならゴールまで走れる!
俺は煙の中走り続けた。方向はわかってる。煙で視界が悪いから舞も追うのが困難なはずだ。
ただ煙は予想外に熱かった。舞、後で覚えてろ!
俺の横にも足音が聞こえる。巴もゆ〜ちゃんも無事みたいだ。お互い考えは同じらしく同じ方向に向かって走っている。
やがて煙だらけの視界に真横に伸びる白いものが見えた。
俺はその白いものの向こうに飛び込んだ!
俺はポケットを探り玉を取り出す。よし!ゴールだ。
息を整えていると煙が晴れてきた。
『競技場ないに起きた爆発によって発生した煙が晴れてきました!ゴールに人影が見えま……。』
実況からも見えるようになったみたいだ。俺は持ってた玉を頭上に掲げる。
巴とゆ〜ちゃんが俺を見てる。周りからの視線もある。
「まこっちゃん……」
「真……」
二人の方を見る俺。なんか二人とも呆然としている。
「「女になってるよ」」
ははは…。二人とも何を言ってるんだ。さっき男だったじゃないか。二人してそんな趣味の悪い嘘を…。
俺は視線を下に下げる。そこにはそこまでなかった物が再びある。しかも俺は上をきてなかったからな……。
「なにぃぃぃぃ!」
こうして体育祭は俺達のクラスの優勝で幕を閉じた。
校内新聞の一面は俺が飾った……。一部黒い線が入った状態で。
そして俺は3日学校を休んだ。