第34話:よくある体育祭の風景(宝探し編7)
視点は替わって落とし穴に落ちたもう一つのグループ、優と嵐。
迫りくる地面。嵐は地面に足を付きそのまま転がる。しばらく転がり着地の衝撃を無くし立ち上がる。
「大分落ちたな…。」
あたりを見る嵐。
「赤井くん。危な〜い!」
嵐の頭上から聞こえる声、嵐が上を見ると視界に広がる膝。そして少し白い物が見えた。
……嵐の視界は真っ黒になった。
上から落ちて来たのは一緒に落とし穴に落ちた内の一人、桂木優だった。
――――――
赤井くんの顔に私の両膝が当たった(めりこんだ)。そして重力によって勢いのました私を赤井くんは支えきれずに倒れる。
「は、鼻がぁー!へこんだ!これ絶対にへこんだって!ってかおも…」
「重いとか言ったら内申と肉体がヒドイ事になるわよ?」
あ、赤井くんが固まった。鼻を抑えながらこっち見てる。
【鬼ッスね…】
この視線は絶対こう考えてるわね。
私はにっこり微笑みながら赤井くんを見た。
――――――
俺の上に桂木先生が乗っている。普通なら舞踊るシチュエーションだ。痛い鼻とこの視線がなければ。
【肉体的に、精神的に死ぬ直前まで追い込むわよ?】
そんな視線だ。表情はいたってにこやかだ。大抵の男はやられる顔だ。ただ俺にはこの笑顔は悪魔の顔に見えるけど…。
「せ、先生。競技中なんでどいてもらっていいッスか?」
桂木先生は素直に立ち上がり辺りを見渡している。
俺も立ち上がりまず自分の手を見る。血はついてないな。いやー、俺って頑丈だなー。
「真と天城さんは居ない近くに居ないみたいね。」
鬱蒼と生い茂る木の中で桂木先生は言う。
「落ちてる途中で別れたんスかね?」
俺ももう一度周りを見る。さっきは見れなかったからな。違うものは見えたけど。
「ってかなんで森なんかあるんスかね。外に出た訳じゃ無いのに。」
少しとはいえダンジョンに入ったから屋内のはずなんだけどな。
「色々な部が協力してるからね。」
この学園は変な方に力いれるよな…。
その時、爆発音が聞こえた。
「綺麗な煙ね。ピンク色だし。きれいなドクロ描いてるわ。」
いや、その感想はおかしいですよ。普通は爆発に疑問を持つべきですよ。
爆発…?真か?体育祭で爆発とかくらってるよな。
「先生、行ってみますか?誰かいるかも知れないですし。」
「そうね。ここに居てもしょうがないしね。」
俺と桂木先生は爆発のあった方にむかった。
男子生徒よ!羨むがいい!あの桂木先生と二人で散歩だぞ!
ガスッ!
木刀は痛いですって先生……