第28話:よくある体育祭の風景(宝探し編)
一日明けていよいよ体育祭3日目。今日の目玉はなんと言っても『宝探し』だ。
藤井先生のクラスとの点差は僅差だ。この競技の結果で決まるだろう。
「宝探しに出る3人。負けんじゃないわよ。」
HRでゆ〜ちゃんはそう言った。いや、ゆ〜ちゃん…、貴女も出るんですよ…?俺が指名したんだけどな。
ピンポンパンポーン
ん?校内放送か?
『皆さん、おはようございます。生徒会長の八神です。今日の宝探しについてお知らせします。』
スピーカーから流れるのは生徒会長の八神 麗の声だ。副会長の神城先輩に苦労を背負わせている張本人だ。
『学園長とのとりひ……、コホン。話し合いの結果、本日行われる宝探しの点数は3000点とします。』
は……?3000点ってなんだ?そのバラエティーな流れは?しかも確実に『取引』っていいかけたよな……。
『なお、意義申し立ては受け付けません。では、皆さん頑張って下さい。』
つまりだ…、どこのクラスにも勝ちがあるって事か……。メンドくさっ!
「ハゲが許可した以上しょうがないわね…。これはホントに負けらんないわね。」
だから学園長をハゲってハッキリ言うな!
「いいんじゃないか?俺はもとから負ける気無かったしな。」
「そうね、勝てばいいんだしね。」
「活躍すれば女子からの歓声も浴びれるしな。」
俺達3人はゆ〜ちゃんに言う。やる以上は本気でやるさ。負けんの嫌だしな。
「しょうがないわね。私も本気でやるわ。」
ゆ〜ちゃんは鞄から一本の棒を取り出した。
巴と嵐は普通にしていたが、それを見た俺は固まった。ゆ〜ちゃんは本気だ。
ゆ〜ちゃんが取り出したのは赤樫で出来た刀。つまり木刀だ。
ゆ〜ちゃんがヤンチャしてた頃(女子ツーリング倶楽部部長時代)ゆ〜ちゃんが愛用していた得物だ。銘は『紅女神』
「ゆ、ゆ〜ちゃん…。それまだ持ってたのか……?」
俺の脳裏に浮かぶのはヤンチャだったゆ〜ちゃんの鬼神のごとき姿と数々の伝説だ。思い出しただけで膝が震えてくる…
「私も本気で殺るわ。あんたらも手ぇ抜くんじゃないわよ?」
木刀を肩に担ぎながら俺達3人を見るゆ〜ちゃん。怖えぇ〜!
「「はい。姉御!」」
俺達3人だけでは無くクラス全員が同時に返事した。
変な所でクラスが一つになったな…