第26話:よくある体育祭の風景(棒倒し編2)
『これより棒倒しを始めます。怪我はしても構わないですが死んだりしないようお願いします。』
そんなアナウンスが入っている。普通は怪我もしないように言うもんだぞ。
『始め!』
掛け声と共にピストルの音が鳴り響く。
ある生徒は相手の棒を倒しに向かい、またある生徒は棒を倒されないように迎え撃つ。
俺達4人はチームから外されてる(囮)から近くの棒を狙いにいった。
そうすると向こうから俺達のチームの棒を狙ってきた男子生徒がやって来た。
「トップランカーが3人!チャンスだ!」
「合法的に触れる。やってやるぜ!」
「ハァハァ…」
両手をニギニギしながら迫ってくる男子生徒。欲望に忠実な人達だな…。
ようは狙われてるのは舞、巴、そして俺の3人な訳だ。
嵐が男子生徒の後ろにまわる。
「そんなに触りたいの?」
巴が男子生徒達に尋ねる。
「「是非っ!」」
全員が全くの狂いもなく言う。
「だってさ。舞ちゃんどうしよっか?」
「皆さん、誰がいいんですか?」
舞がニッコリ微笑みながら男子生徒達に聞く。この笑顔は卑怯なほど強力だ。男達の顔が溶けきってる。
「触りたい人の所に並んで貰える?」
巴の言葉で男子生徒達が一気に動いた。
まわりにいた生徒も一気に……。
結果俺達の前には長蛇の列が出来ている。
俺の前……大勢
巴の前……たくさん
舞の前……いっぱい
かなり大勢の人に狙われてたらしい……。
巴と舞を見ると乾いた笑いを浮かべながら固まっている。
俺も予想外だ。囮としては機能を果たしたけど……。
その時俺の頭の中で電球がピカッと光った。
「3つのグループで生き残った1グループに権利をあげようか?」
そう俺が言った瞬間だった……
「おおぉぉぉ!」
「死ねぇぇぇ!」
「天城さんを堪能するんだ!」
「舞ちゃんの肌をー!」
「桂木の胸を揉んでみせる!」
男子達の醜い争いが始まった。
まさに血で血を洗うと言った感じだ。確実に普段の力以上のモノを出してる生徒がいる。……その力は違う時に出そうよ…。
「む…無念……」
倒れた生徒は涙を流して悔しがっている。ん?赤い涙?まさか血涙っ!本気で悔しがってるよ……
さて、今の内に棒倒しに行くか…。
俺は巴、舞、嵐にアイコンタクトを送ろうと……
嵐が居ない…。まさか巻き込まれたか?
俺達はほぼ同時に嵐を見つけた。
嵐は巻き込まれてはなかった。
「3人と×××や〇〇〇するのは俺だ!」
自分から率先して参加してやがった……。
しかも放送禁止用語を大声で叫びながら…。
後でボコボコにしてやる…