第25話:よくある体育祭の風景(棒倒し編)
これから始まる競技は『棒倒し』だ。ルールはご存知の通り棒を倒せば勝ちってヤツだ。
この競技には俺、巴、嵐の3人共参加する。
この競技はクラス対抗だから1年から3年までクラス事に集まっている。
「これから作戦を決めたいと思う。攻めは容赦なく相手を叩き潰して頂きたい。守りは死んでも棒を死守して頂く。」
今喋ってるのは3年の『神城 圭』先輩だ。今年度の生徒会の副会長を勤めてる人だ。一部からは学園上位の苦労人と言われている。
「諸君等の活躍を期待している。」
眼鏡の位置を直しながら俺達を見渡す神城先輩。
「尚、2年の桂木、天城、赤井の3名は攻め、守り関係無く独立して動いて頂きたい。」
俺達は独立…?なんでだ…?
「先輩、俺達3人だけニャんで別ニャんですか?」
当然の疑問を神城先輩に投げ掛ける。
「君達3人は囮……もとい独立して動いてもらった方が都合がいいからだ。」
囮って確実に言ったな…。
「コホン…。目指すは完全勝利。敵を殲滅し我等の力をみめしめるのだ。」
殲滅させる必要はないだろ……。棒を倒せば勝ちなんだから…。
「あの〜、すいませ〜ん。」
1年の方から神城先輩に声がかけられる。この声は舞か?
「ん?桂木妹か。なんだね?」
「妹なんて名前じゃなくて舞です!私も兄貴達のチームに入りたいんですけど…」
舞、正気か?俺達は囮なんだぞ?
「桂木、妹さんからそういった意見が出てるが構わないかね?」
眼鏡を指で直しながら俺に聞いてくる神城先輩。
「俺は別に構わニャいですけど…。本隊に影響はニャいんですか?」
「桂木妹がそちらに加われば囮としての効果も大きくなる。本隊への負担も減少される。なんら問題はない。」
もう言い直す気がねえよ…。囮っていいきったよ…。
「んじゃ舞、囮部隊で頑張るかニャ。」
舞を手招きする俺。巴、招き猫とか言うな!
「舞ちゃん、頑張ろうね。」
「女のコ3人と一緒!萌え…、燃えてきたぞ!」
4人で自由に動くのか…。なかなか楽しそうだな。
「部隊編成はこれで終わる。諸君等の骨は拾ってやる。囮部隊に敵が気を取られてる隙に本隊が狩る。」
やっぱそういう作戦か…。
「囮部隊は時間を稼いでくれ。なんなら触らせる位の気合いで言ってくれ。これは我らが生徒会長からの激励の言葉である。」
激励になってねえ!誰が触らせるか!
「我等の勝利は会長の勝利に繋がる。負けたら大変な事になると思え。」
神城先輩…少し震えてますよ…。会長と同じクラスなんですね。ご愁傷様です……。
「会長は負けたら『全員に』罰を下すと言っていた。」
神城先輩の言葉に全員が固まる……。
「絶対に勝つぞ!」
「死んでも負けられないぞ!」
「ぶっつぶす!」
「会長、好きだぁ!」
「おおおぉぉぉぉ!」
…チームが一つになった…。少し怖いぞ…。
「行くぞ皆の集!正義は我等にあり!」
よくわからない雰囲気に包まれるなか俺、巴、舞は嵐をボコボコにしていた。
どさくさに紛れて告白したバカはこいつだからだ