第22話:よくある体育祭の風景2日目
体育祭は2日目を迎えた。俺達のクラスは学年で2位。総合で4位と中々の好位置に付けている。
2日目は比較的バラエティな競技が多いから見てて楽しくなるし、必ずしも運動部が勝つようにならないから点数も割れやすい。
「…桂木さん…。」
後ろから俺を呼ぶ声がしたから振り向くと一人の生徒がいた。
俺達のクラスの生徒で『榊原 純』さんだった。
「榊原さん。俺に何か用か?」
榊原さんは無言で俺に何枚かの紙を渡した。
俺はそれに目を通す。そこに書いてあったのは『宝探し』の出場者のリストだった。
クラス事にわけられ写真が貼ってあり、その人の情報がビッシリ書いてあった
こういうのを見るとまずは自分のクラスのを見たくなるもんだ。
俺の写真は……、昨日のセーラー服の写真だった。しかもスカートの裾からなんか白いのが見えてる写真だよ……。
他の写真なかったのかな……。若干落ち込む俺の頭を榊原さんがポンポン叩く。
次を見ると嵐だった。プロフィールは間違ってない…。ただ文章の終り事に『バカ』とか『死ねばいいのに』とか書いてある。なんだか凄い……。
次はゆ〜ちゃんだ。写真はまぁ普通だ。プロフィールは……
『記者の生命の危機の為今回はお休みします』
だそうだ…。
「……桂木先生のガード固い…。」
後ろから聞こえる榊原さんの声。ゆ〜ちゃん恐るべし……
次は巴か。写真、記事共に普通だ。ただ情報量がハンパない。個人情報とかどうなってんだろ……。
「榊原さん、ありがと。残りは後で読んでおくよ。」
「……ん、頑張ってね…。」
榊原さんは俺にさらに何かを渡した。鏡……?なんだ?普通の鏡みたいだけ……
「ニャ、ニャにぃ!」
叫ぶ俺。鏡は普通の鏡だった。普通じゃないのは鏡の中。つまり俺だ。
頭にネコミミがついてる……。
「ニャんでこんなモノが…。」
「……耳だけじゃない。尻尾も……。」
なんだって?慌てて後ろを見る。確かに尻尾があった…。ネコミミと尻尾を外そうとする俺。
「……無駄。外れない……。」
榊原さんの言う通りなぜか両方とも外れない…。
その場に両手を付き項垂れる俺。なんてこった…
パシャ!パシャ!
「ネコミミ桂木が四つん這いだ!」「撮れ!フィルム使いきるまで撮れ!」
そこらじゅうから聞こえる声とシャッター音。
「ニャ、ニャにするんだ。撮るニャ〜!」
な、なんだ…?喋り方も変だ。
「ニャ〜とか言ってるぞ!」
「動画だ!声も残せ!」
まわりも気付き益々盛り上がっている。
「……幸福の猫セット。似合ってるよ…」
榊原さん!アンタのせいか!なんとかしてくれ!
「……一日で外れるから頑張ってね…」
榊原さんは行ってしまった…
「ニャ〜〜〜〜!」