第18話:よくある体育祭の風景3
100mはドンドン進み、巴も決勝に進んだ。
決勝は午後にやるから次の競技の準備をしている。次は200m。俺は参加してないが嵐がする競技だ。
俺と巴はクラスの席に戻って来た。
「真に巴ちゃん。よくやった。」
迎えたのはゆ〜ちゃんのお褒めの言葉だった。
「二人とも流石ね。」
「桂木は変わっても速いし、天城も相変わらずだし。」
「二人とも凄い。」
クラスの面々からも歓声を浴びる俺と巴。
「別に…。命が惜しいからな。」
ゆ〜ちゃんはヤルと言ったらヤル人だ。従ってHRで言ったのは本気だ。
「なんにしても藤井先生のクラスと差ができたわ。」
藤井先生のクラスの選手は決勝にはでれなかったらしい…。残念ながら確かに点差が出来たようだ。
「カメラのフラッシュもバンバン光ってたよ。」
しまった…写真部の存在を忘れてた…。また売られるのかよ…。
次の競技負けようかな…。
「真、そんな事したら解ってんでしょうね?」
人の考えを読まないでくれよ…。言いたい事はわかりましたから…。
「ちなみに寝顔売ったの私だから。」
「おい!ゆ〜ちゃん!アンタが売ったのかよ!」
考えればすぐわかる事だ。あの時来たのはゆ〜ちゃんだけだったからな…。変な事しやがって…。
「儲けは全部貰うから。ありがとね。真。」
ぐっ…。言いたい事を先にいいやがった…。
「今回は諦める。ただ今後はやめてくれ。マジで…。」
「え〜、なんで?」
「なんでじゃない。恥ずかしい。あとなんか嫌だ。」
あんま騒がれたくない。それが本音だ。只でさえ、いきなり女になって騒がれてるのにこれ以上の面倒はごめんだ。
「しょうがないわね。体育祭の結果によっては考えてあげるわよ。」
考えるなよ!そこはやめてくれ。しかし結果が悪いと撮られ続けそうだ。
「わかった、いい結果残せるように頑張るよ。」
負けられない理由が増えてしまった。なんか巧くハメられた気がするけど…。
「頼む、俺の平和な学園生活の為に頑張ってくれ。」
クラスメイトに頭を下げる。
「別に言われなくても負ける気ないぞ。」
「勝負事に情けはないしね。」
「私達のクラスの力を見せて上げましょう。」
「今更まこっちゃんに平和な学園生活はもう手遅れだと思うけど。」
「巴、どういう意味だ。」
辺りに笑いがおこる。笑うなコラ!
「お〜い、俺の走り見てたか?」
嵐がやって来た。あ、そういえば…。
「「ゴメン、見てなかった。」」
クラス一堂でハモる。一糸狂わないハモりだった。
「ひどっ!なんで!」
皆の思いは同じだ。
「それがお前の運命だから。」