第16話:よくある体育祭の風景
いよいよやって来た霞ヶ崎学園の体育祭初日の朝。
天気は快晴。少し暑いが絶好の運動日和だ。
我らがクラスもやる気たっぷりで士気があがっている。いい事だ。
霞ヶ崎学園は制服がないからそれぞれ動きやすい服着ている。ただそれだとクラスが判らなくなるから鉢巻きをクラスごとに色をわけて着ける事になっている。
巴と嵐は鉢巻きを付けて準備万端だ。俺も鉢巻きを巻いている。ただ巴に注意されたけど…。
始めは額に巻いてたんだけど巴に注意されて前髪の上辺りから巻いている。なんでも女はこう巻いた方がいいらしい…。相変わらずよく解らない。
そうこうしているうちにゆ〜ちゃんが教室に入って来た。まぁ、やる気ないんだろうな…。
「今日から始まる体育祭なんだけど必ず勝つ様に。特に隣の藤井先生のクラスには。」
これがゆ〜ちゃんの第一声である。また藤井先生になんか言われたんだろう…。藤井先生は結構厳しいからな。
「特に主力になっている3人。あんたらは負けたら許さないからね。」
ニッコリと笑顔を浮かべるゆ〜ちゃん。これを判りやすく解釈すると
「負けたら死んだ方がマシな目に合わせる。」
である。ちなみに主力は俺、嵐、巴だ。何故かゆ〜ちゃんの策略により参加種目が増やされた3人だ。
「それじゃ皆、お逝きなさい。骨は拾ってあげるから。」
逝きたくねぇ…。行きなさいだろ…。
ゾロゾロと校庭へ移動する俺達。これが結構遠いんだよな…。
校庭と言ってるけど実際は陸上競技場みたいなのを使う。なんと観客席とビジョン付き。観客席には地域住民の方々の出した屋台が並び生徒の家族の方々がそれを買いながら体育祭の開始を待っていた。
初日は色物競技は少なく陸上競技が大半を占めている。だから生徒達はここに集まる。
やがて生徒達が集まり開会式が始まる。
学園長の話は長いからカットするとして選手宣誓なんてのもある。
「選手宣誓、赤井嵐君。」
嵐がやるのか?知らなかったな…。嵐が小走りで壇上に上がる。
「宣誓!我々選手一堂は…。」
おっ、意外と真面目にやるんだな、
「如何なる手段を用いても勝利をつかみ…」
な、なんかおかしくなってないか…?
「良いところを女子生徒に見せ、モテたいです!」
馬鹿だ…。そんな事を誓うなよ…。案の定、生徒及び保護者からの大ブーイングを浴びる嵐。
なにはともあれ体育祭は始まった