第15話:ある放課後の風景
俺が起きたのはチャイムが聞こえたからだ。ただの授業終了のチャイムではなく、本日の授業終了のチャイムなんだけど…。
夏前って事もありまだ太陽は輝いているが随分寝た様だ。昼飯も食わずに。
体を起こし辺りを見る。暑い…。喉が渇いた…。しょうがなく俺は自販機に向かった。
自販機でお茶を買って一口飲むと乾きが癒される。お茶を持って自販機近くの広場に言ってベンチに座る。
あたりには放課後らしくたくさんの人がいた。その中でなにやら人が集まってる所があった。
「毎度お馴染みの写真屋です。新作もあるよ〜。」
写真屋、学園の生徒達の写真を売っているのだ。写真部が撮った写真や売り上げの一部を渡し手に入れてる写真などがあり、人気の生徒、教師などそうとう売れてるらしい。(ゆ〜ちゃんとか舞や巴は結構人気があるらしい。)
まぁ、よくある風景だ。ただあまり見たことがなかったから珍しい物を見る感じで見ていた。
「今日の新作は渦中の人。桂木真だ!」
沸き起こる歓声。飲んでたお茶を吹き出しそうになる俺。
な、なんだって?俺?
「買う!買うぞ!」
「私も買うわ!」
「私も!」
次々に群がって行く人、人、人。
「極めつけはこれだ!『眠りの真嬢』ある筋から手に入れた逸品だよ!真嬢の寝顔に太陽を受けて光輝く髪!まさに芸術!早い者勝ちだよ!」
ベンチから滑り落ちる俺。ね、寝顔?恥ず!しかも写真部のヤツの説明が…。なんて説明の仕方だよ…。
写真屋の客達は大歓声と共に俺の写真を買って行く。
なにがいいんだかわからん…。ただわかった事は売り上げ上位に俺が入って行くって事。
そして、このままここに居るのはなんとなく危険だということだ…。
俺はこの場から避難する事にした。
目指すは校門。そして我が家である。
目立たない様にコソコソと…。そして少し急いでこの場から逃亡した。