第14話:よくある自主的休憩時間2
「煙草すう?」
煙草の箱を差し出してくるゆ〜ちゃん。
「校内禁煙。それに俺未成年だから薦めるなよ…」
体を起こしながら言う俺。全く…。なんて教師だ…。
「そうだっけ?別にここには誰も来ないわよ。」
そういいながら新しく一本に日をつけるゆ〜ちゃん。
ゆ〜ちゃんは煙草を吸う姿がよく似合う。我が姉ながらキレイだと思う。
「それに20歳になってから煙草と酒やりだすのはそうそう居ないわよ。」
それは思ってても言っちゃいけないだろ…。一応教師なんだからさ…。
「ほらあそこで優雅に吸ってる人も居るしね。」
ゆ〜ちゃんの指差す方には確かに裏の方で煙草を吸ってる3人が居る。
「注意しないでいいの?」
喫煙する生徒を見たら教師は普通注意するもんだ。
「した方がいい?」
あきらかに面倒そうな顔を俺に向けている。うわ、やるき無いな…
「未成年が煙草吸うなよ〜。いけないんだぞ〜。」
なんだその注意は…。もう少しやる気出そうよ…。
声をかけられた3人はこっちに気付いたようで慌ててる。
「……!」
何か言ってるみたいだけど生憎距離が遠くてよく聞こえない。
「へぇ…いい度胸じゃない…。」
ゆ〜ちゃんには聞こえたみたいだ。ニッコリと笑顔を浮かべながらお怒りになられている…。正直怖いです…。
どこかへ逃げる3人。それをみているゆ〜ちゃん。
「顔は覚えたわよ…、覚悟しなさい…。」
よく見えるもんだ。素直に感心するよ。
「まぁ、落ち着きなって。これやるから。」
コーヒーを一本ゆ〜ちゃんに投げる。それをキャッチするゆ〜ちゃん。
「サンキュ。準備いいわね、あんた。」
一口飲み、若干顔をしかめる。そして缶を見るゆ〜ちゃん。
「あまっ!あんたこんなの飲んでるの?」
いきなり文句言われた。
「それしか売ってなかったんだよ。文句言うなら返せよ。」
コーヒーなんか滅多に出ないから売り切れ率が非常に高い。
「もらったモノは返さないわよ。」
コーヒーを一気に飲むゆ〜ちゃん。そして空いた缶に煙草を入れるゆ〜ちゃん。
「そういえばよくも私を巻き添えにしたわね…。」
おそらく体育祭の話だろう…。普段からやる気の無い人だから参加する気もなかったんだろう。
「しょうがないだろ…。戦力的にあの4人がベストなんだからさ。」
『宝探し』は人によっては怪我をしかねない種目だ。それなりの戦力を揃えないと危ない。
「私はやる気ないからね。3人で頑張りなさいよ。」
そういい階段に向かうゆ〜ちゃん。…まさかそれだけを言いに来たのか?
「じゃあね。ちゃんと鍵閉めて置いてね。」
ゆ〜ちゃんを見送った俺は……
もう一眠りする事にした