第138話:赤井嵐の日常風景5
「何言ってやがる。藤井さんはゆ〜ちゃんか校長に文句言えって言ったんだろ。俺に言うのはおかしいだろ。1枚チェンジ。」
「そもそもの原因はお前が逃走したからなんだよ。…俺は3枚。」
「そうよ。私なんか止めないのも起こられたんだから。3枚お願い。」
「…いい迷惑…。ノーチェンジ。」
なに?変更無しだと?
「だったらその文句は校長かゆ〜ちゃんに頼む。よし、勝負。7とJのフルハウス。」
「3と9のツーペアよ。」
「…ストレート…。」
「くそ、Kのワンペアだ。」
「じゃあ嵐、飲み物よろしくな。」
ちくしょう!なんで勝てねえんだよ!食堂の自販機スッゲー混んでんだぜ…。
三人から金を受け取り自販機に向かって歩く。
くそ、早くしないとカツカレーが冷めちまう。
よし、やっと俺の順番だな。えっとコーヒーを2本と紅茶と俺のお茶と……一応ココアもだな。多分一緒に食べるだろうし。
あ、コーヒー1つ凹缶だ。まぁこっちは真にでいいか。
「うーい。お待たせ。」
手に持ってるのを各人に渡す。真には凹コーヒー。榊原さんにコーヒー。巴は紅茶。んでもって…
「お、やっぱ居たな、舞ちゃん。はいよ。」
予想通りに居た舞ちゃんにはココアっと。
「あ、ありがとうございます。」
「別にいいよ。いつもの事だしな。」
「なんか俺のコーヒー凹んでんだけど…。」
「なんだ?お前は凹んでるのを榊原さんに飲ませるのか?」
あ、真が固まった。榊原さんも真をジッと見てるし…。
「ちくしょう…。後で覚えてやがれ。」
任せろ。5秒位は覚えておいてやる。さってと、冷めない内にカツカレーを…って
「カツが一切れもねえ!それ以上にカレーがめっちゃ赤いぞ!」
な、なんか匂いが目に染みるしよ!
「ああ、それは嵐が飲み物買ってきてる間にカツが熟成されてカレーと混じった。」
ほー、なるほど不思議な化学反応もあるもんだな……
「ってそんな訳無いだろ!なんだこのカレーは!」
「なんかマグナム辛カレーっていうみたいよ。」
マ、マグナム辛?なんだそりゃ?
「それよりカツカレーはどこに行った!」
「「ごちそう様でした。」」
全員か!お前等全員で食ったのか!
「さぁ、嵐。俺の奢りだ。遠慮無く食え。」
く、食えってよ…なんか食べられる限界を越えて無いか?
「…期待してる…。」
「嵐さんなら行けますよ。」
「ほら、嵐。ガツッといっちゃいなさいよ。」
ち、ちくしょーーー!
右手に握りしめたスプーン。いや、これは強大な敵を倒す剣だ!倒すべきは目の前の真っ赤なカレー!
俺にはわかる!味わったら負けだ!一気に流し込むべきだ!
「うおぉぉぉぉ!」
皿を抱え聖剣『スプーン』を動かし一気に胃にぶちこむ!
味を感じる前に流し込め!躊躇うな!時間との勝負だ!
口を開けて喉を開いてダイレクトに胃へ!
ダンッ!
開いた皿をテーブルに叩きつける!よし!食いきった!
「「お〜〜〜。」」
四人から感嘆の声が上がる。よっしゃぁ!俺のか…ち……
「むぐぅぉ!」
胃が!喉が!舌が!口が!や、焼ける!お、お茶を!俺の…お…茶……を………。
あぁ…綺麗なお花畑だ…。なんか川の向こうで死んだばあちゃんが手招きしてるぜ。あっちは幸せそうだな…。
なに、船の渡し賃?ほら払ってやるぜ。はははははは……。
幸せの国に旅立った俺は放課後までエンジョイして来た。
貴重な体験だったぜ