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第116話:ある二人の風景3


「クスン…ヒック…ヒック…。」


周りは泣いてる人達でいっぱいだ。


確かに予想よりいい映画だった。俺が見入ってたくらいだからな。だからってさ…


「おい、巴…。」


「クスン…ヒック…だって…。」


巴まで泣き出したのは予想外だった。


俺はどうしたらいいんだよ…。


「ヒック…クスン…ちょっと待ってて…落ち着くから…ヒック…。」


ちょっとで落ち着くのか怪しいな。


「とりあえずどっか座ろう、なっ。」


「うん…。」


巴は俺の服の端をギュッと握ってる。


俺は辺りをみて近くの喫茶店に入る事にした。







そして少し後悔した。周りの目が少し痛い…。


二人で女の方が泣いてる。これはパッて見俺が泣かせた見たいに見えるんじゃないか?


「ご注文は?」


「あ、アイスティーとアイスコーヒー。」


「かしこまりました。」


店員さんはチラッと巴を見てその後に俺を見た。


な、なんだ!その普段俺が嵐を見るようなその目は!俺はなんもしてないぞ!だから俺をそんな目でみるな!


店員に俺の気持ちが伝わったのかわからないけど店員は俺から目を離しメニューを持って行った。


嵐の気持ちがこんな所でわかるとは…。理不尽だ。後で嵐に蹴りくれてやろう。もちろん八つ当たりだ。


「巴、映画でそんな泣くな。」


「だって…あの映画…ヒック…ヒック…。」


ヤベッ、映画なんて言ったからまた涙流してる。


「と、巴。落ち着け。」


俺は体を乗り出す。届くか?…よし、届いた。


「まこっちゃん…?」


「なんも言うな。」


俺は巴の頭をポンポンと叩いた。小さい頃はこれで泣き止んだんだ。


「ちょっと…固いよ…。」


「文句言うな。固定の台があるんだからしょうがないだろ。」


「うん…ヒック…。」


「むしろ希望を言うならもうちょっとこっちこい。遠い。」


「…うん…。」


巴は座りを浅くしてテーブルに肘を置く体勢になった。よし、これなら楽だ。


俺は巴の頭を撫でたりポンポン叩いたりしながら巴を泣き止ませる事にした。


「お待たせしま……した。」


店員さんが飲み物を持ってやってきた。なんか見ない様にドリンクをテーブルに置いてる。その変な気遣いは逆に恥ずかしいです…。ってか周りからの視線もなんかさっきとは違うし!なんだこれは!


「巴…?」


「…ん…?」


「まだ落ち着かないのか?」


「もうちょっと…。」


ぐぉぉぉ!やって後悔した!これはアレだ!恥ずい!


「って泣き止んでるだろ?」


「………バレた…?」


……自分でやりながら辱しめを受けた…

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