第113話:ある申し立ての風景
自分の励みになるので感想等下さい
「異議を申し立てる!」
「申し立てたければ勝手に申し立てろ。」
ったくこの暑い中呼び出してなんなんだ。
「お前を止めてたのは俺の筈だ。なのに扱い酷いぞ!」
「ん?そうなの?」
「そう言えばそうかも。」
「確かに真負けたからね。」
「俺が?まさかっ!」
「覚えてないんですか?」
「覚えてるのは家を出たまでだ。その次は……病院だな。」
まさかあっちの世界とは言えないしな。
「んで、俺を負かした嵐は俺からのお礼が欲しいのか?」
「なんでそうなる!それにお前に手を出した件には優さんから許可をもらってる!」
「ゆ〜ちゃん、マジ?」
「さぁ?記憶にないわ。」
「優さーん!」
「ちょっ!いきなり泣かないでよ。嘘よ嘘。許可したわよ。」
「ほぅ…。嵐がやったって事はこの頭の傷もお前か?」
「それは違う!断じて俺じゃない!」
「まこっちゃん、それは本当に違うから。」
じゃあ誰なんだ?じっくりお礼をしたいんだけど…
「それより赤井君。結局何が言いたいのですか?」
「おう、つまりだ、真。お前俺の頼みを一つ位聞いてもいいんじゃないかって事だ。」
「はぁ?何言ってんだ?暑さのあまりに脳みそ沸騰したのか?」
「俺は正常だ!」
いやいや、正常じゃないだろ…。
「因みに聞くだけ聞いてやろう。何を要求する気だ?」
「よくぞ聞いてくれた。俺の要求は裸にエプロプギャ!」
うん。やっぱり脳みそ沸騰してるな。何を言い出しやがる。
嵐は俺の喉への足刀により咳き込んでる。
「ゴホッゴホッ!しゃ…シャレにならんもんが来た…。」
あ、起き上がりやがった。
「で、何が言いたい?」
「じゃあバニーガォレョ!」
いっけぇ〜ギブスパ〜ンチ。
ギブスパンチは嵐の顔面を的確に捕らえた。
「イテェ!ってか硬ェ!鼻がめり込む…。」
アッハッハッ。安心しろ、嵐。人体的に鼻はめり込む前に砕けるから。
「…よし、じゃあ真。お前男装しろ!」
鼻を抑えて涙流しながら人を指さすな。…って…
「男装?」
「おう。そうだ。」
「男装ってあれか?歌劇団がやってるアレか?」
「おう。まさにそれだ。」
「なんで?」
「その恰好で巴と一日遊んでやれ?」
「「なんで?」」
巴と同時に嵐に疑問をぶつけた。
「なんだ?嫌なのか、巴?」
「べ、別に私は嫌じゃないけど…。」
「そうか。真は?」
「構わないけどよ…。」
「うっし、じゃあ決定だな。あ、今回は付いて行ったり撮ったりはしないから。」
「…今回だけは…。」
「待った。男装とか言われてもわかんねえぞ!」
「真。それなら私がなんとかするわ。」
「ゆ〜ちゃんが?」
「ええ。知り合いにメイクやらなんやらやってるのいるし。」
なんか話が早いな…
「ひょっとして…嵐から話聞いてた?」
「ええ。」
「はい。」
「…うん…。」
あ、やっぱり…知らなかったのは俺と巴だけか…。
「じゃあ日にちは来週の日曜日な。」
「わかったよ…。」
「うん…。」
巴のヤツ頭が追い付いてないんじゃないか?
「悪いな巴。変な事に付き合わせて。」
「あ、ううん。嫌じゃないから。むしろ嬉しいし。」
首を横に振りながら手を振る巴。いや、そんな振れるとこ全部振らなくてもいいんだぞ?
「いや〜変に突っ込まれなければ最初の案でいったのに。」
「素肌に布一枚で外歩ける訳無いだろ!」
やっぱこいつの脳みそ沸騰してるよ…