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第111話:ある退院後の風景3

ワシャワシャ…


「なんかアレだね。ムカつくくらい肌綺麗だよね。」


「らしいな。巴とかにも言われてた。」


「ホントにズルい…。」


おう、どうでもいいけど人の背中洗いながらブツブツいうな。


「でも兄貴の背中洗うの何年振りだろ?」


「さぁ?10年位か?」


「それくらいかな?学校入る位には別々になったし。」


だな。昔は風呂場におもちゃ持ち込んで舞とよく遊んだな。


「それにしてもお前今日はどうしたんだ?」


「何が?」


「今まで俺の事嫌ってた感じがしたのになんか今日は違う気がしたからさ。」


「べ、別にいいでしょ。」


ゴシゴシッ


「…ッ!」


「あ、兄貴大丈夫?」


「あぁ、大丈夫だ。」


舞が力入れたら体に痛みが走った。まだ完調とは言えない見たいだな。


「兄貴、こっち向いて。」


「はいよ…っておい!」


「何よ。」


「前も洗うのか?」


「当たり前でしょ。兄貴自力じゃ洗えないんだから。」


「確かにそうだけどよ。」


無力だ。果てしなく無力だ…。


「ほら、洗うよ。」


「勝手にしてくれ…。」


逆らえる現状じゃねえしな。諦めよう…。


「勝手にする。」


ビクッ…


「ん…。」


なんかさっきまでと違うか?


「って…持ち…上げるな…んっ。」


この感触はまさか…。


「タオルは…どうした。」


「使ってないよ。」


「使え!」

「だって勝手にしろって言ったじゃん。」


「それとこれとは違うだろ!」


微妙な手付きで俺の体を洗う…まさぐる舞。


「もういいだろ。流してくれ。」


「チェッ」


文句を言いながらもシャワーで流す舞。流し終わったのを確認した俺は浴槽に入った。


「ふぅ…。」


やっと目が開けられる。


「兄貴、もうちょっと端によって。」


「あ?のわっ!」


舞は俺を浴槽の片側においやった。そんで何を考えたのか入って来やがった。


「…何してる。」


「だって体拭いたりとかもやるんだしさ。」


「そんときはまた呼ぶ。」


「めんどくさいじゃん。って結構いっぱいいっぱいだね。」


「だったら出ろ。」


「いや。」


…こいつは…。一体だれがこんな風に育てたんだ…。


「って兄貴?目開けたら?


「いや…。」


「大丈夫。お湯に入ってるから見えないから。」


「ホントか?」


「妹を信じてよ。」


よし、信じてやろう。


俺は閉じた目を再び開けて舞を見た。


「お前は…。」


信じた俺が馬鹿だった…。舞は堂々と浴槽の縁に座ってた。


「ほら、一回見ちゃえば大丈夫でしょ。私も兄貴の見たんだし。」


確かに舞の言う通りなんだけど…。


「はぁ…。もういいや。予想通りあんま成長してないし…。」


「なっ!私はこれからなの!姉貴といい兄貴といい…まったく…。」


はいはい…希望をもつのは自由だからな…

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