第108話:ある病院の風景4
「さぁ、真。きりきり吐いてもらうわよ。」
「何を。」
「なんであんな事したのよ。あんたのせいで私頭にコブつくったんだから。」
「やはり戻れないと思ったからですか?」
「まぁ、それが主な理由だな。」
「…他に理由が…?」
「笑わないか?」
「ええ。」
「笑わねえよ。」
「笑いません。」
「……。(コクリ)」
「俺がこのまま女だったら皆が俺を女だと思うだろ。」
「そりゃお前は今どう見ても女だからな。」
「だから、いずれ男だった俺を皆忘れちまうんじゃないかってさ。」
「まさか。」
「忘れようにも忘れられないですよ。」
「あんた、私達が馬鹿だと言いたいの?いい度胸ね。」
「いや、そういう意味じゃないんだ。」
「…どういう意味…?」
「忘れられたら今までの俺がなくなるって考えてさ。」
「真、よく聞きなさい。」
ゆ〜ちゃん!いきなり壁を叩くな!隣にも人はいるんだ!
「ここにいる全員。何があっても男のアンタを忘れたりしないわよ。絶対にね。」
「本当か?」
「ええ。言いたくないけどアンタは私の自慢の弟なんだから。」
「第一男のお前忘れたり今までの俺達が無くなるんだぜ。」
嵐、その言葉はありがたい。だけどなんでお前の顔は引っかき傷だらけなんだ?
「いや〜、白衣の天使ってのはホントにいるのか?」
お前はホントに何をしてるんだ?
「さて、真。私達に何か言わないといけない事あるんじゃない?」
ゆ〜ちゃん。笑うならちゃんと笑ってくれ。目が笑ってない上に背後に悪魔的なオーラが見える。
「そうですよ。まだ言われてないですね。」
「…早く…。」
麗さん、純。いつの間に闘気を操れる様になったんだ?
「そうだ。はやく美人の看護士さんを紹介しろ!」
嵐、散々迷惑かけながらなんだけど…。ホント、マジで黙れ。さもなくば死んでくれ。
「えっと…今日も暑いな?」
「違う。」
「ゴメン。」
「違います。」
「ここはどこ?俺は誰?」
「…ふざけてる…?」
もちろんふざけてますよ。
「その…ゆ〜ちゃん、純、麗さん、ありがと。」
「なんで俺には言わない!ってか俺に言ってくれ!」
「うっさい。いいからお前は白衣の天使でも追っかけて怪しい薬でも投与されてろ。」
「ヒドッ!俺の扱いヒドッ!」
気にするな嵐。お前のあつかいはいつもこんな感じだ。