第103話:ある病室の風景3
俺の目にうつるのは白い天井と蛍光灯。…こりゃ俺の部屋じゃねぇな…。
思い出せ。何があった…。
あれが現実なら確か俺は巴がした事を見てた。そしたら俺達二人は光に包まれたんだ。
OK、俺は冷静だ。俺はゆっくり体を起こす……。い、いや……止めておこう…。体を動かすと少し痛みが来た。耐えられなくないけど無理する必要もないからな。
俺は頭だけを動かして周りを見る。あぁ、やっぱ泉から見えた景色と同じだ。
どうやら俺は泉から見てた病室にいるみたいだ。
って事は巴との…その…アレで目が覚めたってことか?
冗談にもほどがあるな…。
俺は手を額に置こうとした…が、コツッと音とともに額に硬い感触を感じた。
俺の右手はガッチリ固定されていた。左手も同じ状況だった。
あぁ、そういえば両手骨折とか言ってたな。
ってこれじゃナースコールのボタン押せないな…。まぁ、いいか…。
別に呼ぶ必要も無いと判断した俺は多少の痛みを感じながら上体を起こした。
手はガッチガチに固められてるけど足は何とも無いみたいだから少し歩く事にした。
体を動かしてベッドの縁に座る様にして足でベッドの横の棚を開けた。
行儀が悪いのは重々承知だ。ただ手が使えない以上しょうがない。
確か入院するとある程度の物は家族が持ってくるはずだから…。
俺は棚の中にあった袋を取り出す。
多分この中にスリッパが……。
俺は目を疑った。袋をどかしたその奥に変な物があったからだ。
そこにあったのは猫の足を大きくしたものだった…。まさか…。
俺はその物体を取り出した。その物体はフワフワしていて大きさは俺の足が入るくらい。
スリッパはこれなのか!?俺にこれを履けと?誰がこんなのを用意したんだ!って考えるまでもねぇ。純かぁ!
袋の中、棚の中をさがしてもスリッパは無かった。…どうやら本当にこれが病院内で履くスリッパってことみたいだ。
怪我とは別の意味で頭が痛いな。
何がしたいのか全く持ってわからない。いや…わかりたくない。考えたくない。けっして袋の中に『幸福の猫セット』なんか入ってない。入って無いったら入って無いんだ!
はぁ…はぁ…
なんで俺は息を切らせてるんだ…。誰も居ないのに…。
背に腹は変えられないか…。
俺は猫足スリッパに足を入れた。
あ…、けっこう柔らかい…。って冷静になれ!
俺はベッドから離れてドアを開けて病院内を彷徨く事にした。