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第101話:ある病院の風景

まこっちゃんの病室を出た私は無意識に売店に向かって歩いてた。


べ、別に嵐の言った事を真に受けたわけじゃないんだから!


ただ、少しでも可能性があるなら…ね。


売店で私が買ったのは歯ブラシと歯磨き粉。


やっぱ一応はね。


私はそれを持って化粧室に入った。


シャカシャカ…


なんか今までに無いくらい丁寧に磨いてる気がするわ。ま、まぁマナーだしね…


歯を磨いた私は再びまこっちゃんの病室に戻って来た。


まこっちゃんは相変わらず目を閉じて寝てる。


ホントにただ寝てるだけって感じ。声かけたら起きそうだもの。


私は持って来た鞄からポーチと鏡をだした。


い、一応口紅くらい塗って置かないとね。


あんま塗った事ないけどさ…。


口紅を持った手が小刻みに震えてる。地震…じゃないわね。緊張…かな。


心臓がバクバクいってるし。


手を震わせながらなんとか口紅を塗って鏡を見る。


うん。こんな感じかな…。


って、かなりヤバイ!心臓が速いし顔がなんか赤いし!


落ち着いて。冷静になるのよ…ってなれるわけ無いでしょ!


待つのよ巴!ようはアレよ!人工呼吸と同じよ!


ってそんな風に考えられる訳無いでしょ!


まこっちゃんは別に心臓が止まったり息してない訳じゃないし!


落ち着いて!取りあえず座りましょう。


私はベッドの側の椅子に座ってまこっちゃんを見た。


寝てるのは『女』のまこっちゃん。


このまこっちゃんもまこっちゃんなんだけどやっぱ私の中では『男』の方がまこっちゃんなのよね。


まこっちゃん…ずっとこの姿なのかな…。治らないみたいな事話てたし…。


ううん。まこっちゃんは必ず戻る。だから私は『男』のまこっちゃんを忘れない。


そうよ!今のまこっちゃんは女なのよ!だから女同士の悪戯なのよ!そう考えればいいんだわ!


「まこっちゃん…。」


私は少しづつまこっちゃんに近付いて行った。


ヤバ…。目を開けてるの恥ずかしい…。いくら今は女とはいえまこっちゃんの顔がこんなに近いんだもん…。


私は目を閉じてまこっちゃんの顔に私の顔を近付けて行く。


うぅ〜〜。やっぱドキドキする…。


お祭りの時よくあそこまで行けたわね…。我ながら恐ろしいわ…。


やがて私の唇に何かが触れた。まこっちゃんの唇かな…?


柔らかい…。


私はゆっくりとその感触を感じた。


まこっちゃん…お願い。目を開けて…

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