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第98話:ある闘いの風景3

俺の目の前の男が棒を振り上げてる。


逃げようにも手足を捕まれているから動かせない。


あぁ…そうか…。


『男』の俺だけじゃなく『女』の俺もここで消えるんだな…。


そんなもんなんだな…。


男の腕に力がこもるのが判った。


瞬間、頭に衝撃を受ける。


強烈な一撃だった。だけど俺の意識は飛ぶ事無くしっかり残っていた。頭を直接かき回す様な痛みが俺を襲う。


俺の視界が赤くなる。どうやら出血したみたいだ。


男はもう一度棒を振り上げた。


一度じゃたりなかったらしい。あと何発か喰うだろう…。何発まで意識が持つかな…。


「やめてぇぇ〜〜〜!」


男が棒を振り下ろすその間際、一つの影が俺の前に立った。


誰だ?新手か?


影は俺に背を向けて立っている。


「ヤメテよ!もういいでしょ!」


影は男達に何か言っている。


なんだ?これは誰だ?


影と男達が言い争っているのがわかる。


それを見ていると俺の両手足を抑えていた俺達の力が無くなった。


変わりに影がもう二つ増えた。


「天城さん。無茶し過ぎです。」


「出遅れるとは思わなかったわ。」


影が三つに増え俺の前に壁の様に立っている。


「アンタ達、ここは私に免じて引いてくれない?」


「はぁ?誰だアンタ?」


「私はこの子の姉の桂木 優よ。」


「桂木…優…。アンタがあの『紅女神』の…?」


「昔はそう呼ばれてたわね。今引いてくれたらこの子に手を出したのは無しにしてあげるから。」


影と男達が話てるのは判る。ただ何を話してるのかは全く判らない。


「ただ引かないともうじき雪達が来ると思うからアンタ達みんな病院よ。」


男達がざわついてるのが判る。


「わ…判った…。今回はアンタに免じて引く…。」


「ありがと。アンタ達長生きするわよ。」


男達が背を向けた。


なんだ…。結局、女の俺は残るのか…。


男達が去って行くのが見える…。


だがそれを見終わる事無く視界が霞がかっていく…。


俺は目を下に向けた。


16年間無かった二つの山が見える。その山にかかる服は赤くなっていた。


結構…出てるな…。


頭からの痛みは感じない…。ただ違和感を感じるだけだ。感覚が無くなってるのか…?


こりゃまずそうだな…。霞がかる視界。揺れる脳。そんな事を他人事の様に考えていた…。




そして俺は意識を切り離した。


夏休み入ってから2回目の気絶だ。



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