第97話:ある闘いの風景2
嵐とまこっちゃんが激しい闘いをしている。優さんが許可したから嵐も手を出してる。
ただ嵐の動きで気になる事もあるわ。
「赤井君、顔には手を出してないですね。」
「嵐君、変な所に気を使うからね。」
「そうですね。」
そう。足やお腹まではいってるけど顔には一切攻撃してない。
私の見た感じ今の所五分五分なんだけど。
でもまこっちゃんは喧嘩強いの知ってたけど嵐も普段からは考えられないわね。
ちょっと見直したかな?まぁ1ミクロンくらいね。
「ぐぅ…!」
突如、嵐のうめき声が聞こえた。
まこっちゃんの拳が嵐のお腹を捕らえたから。
まこっちゃんは追撃とばかりに上体を曲げた嵐の顔に回し蹴りを狙った。嵐はそれを転がって避ける。
モーションの大きい蹴りを出したまこっちゃんの体勢が整う前に嵐がまこっちゃんの足を払った。
それを喰らってまこっちゃんはその場に倒れた。
倒れたまこっちゃん。見下ろす嵐。勝負が決まったのは一瞬だった。
「ハァ…ハァ…アンタの叫び…聞きたかったな。」
まこっちゃんはジ〜ッと嵐を見てる。
「残念…だったな。」
「ああ。残念…だ。…さぁ…やれよ。」
まこっちゃんは抵抗する気がないかの様に手足をダランとさせた。
右手を振り上げまこっちゃんをジ〜ッと見る嵐。
「…やらねぇ。今の真に勝っても嬉しくねぇからな。」
嵐が右手を下ろした。嵐は上体をまこっちゃんに向けて曲げた。
ズシャ…
嵐は地面に倒れた。
嵐の後ろには男の人が立っていた。木材を握り締めて。
「だったら俺達が止めさしてやるよ!」
さっきまで倒れていた男達が二人を囲んでいた。
「て、テメェ等!ヤメロ!」
「うっせぇんだよ!」
「うっ…!」
止める嵐を数人の男達が蹴っていく。
囲まれ無数の蹴りを嵐は受けている。
残った俺達がまこっちゃんを囲む。
「さっきはよくもやってくれたな。たっぷりお返ししてやるぜ。」
「や…ヤメロ…。」
「喋るんじゃねぇよ!」
嵐のお腹を男が蹴り上げた。
「ガハッ…ゴホッ…。」
咳き込む嵐。その向こうで男が木材を振り上げた。
ヤメテ…ヤメテ…ヤメテ…ヤメテ…
私の頭は真っ白になった。
「やめてぇ〜〜〜〜〜!」
自分の声が遠くに聞こえた。
私は……走っていた。まこっちゃんに向かって…。




