エピソード3 先生はチョークを投げる
地図を見ながらのんびりと歩いて、五分くらいで自分のクラスに到着した。
「一年三組 B。ここか」
さて、どんな奴らがいるんだろうな。
俺は教室の中に入った。けど、まだ誰もいなかった。
ま、仕方ないか。まだ7時20分だし。
黒板に貼ってある座席表をでも見るか。
『早く来た人から好きな所に名前を書いてください。そこが貴方の席になります』
よし。窓際後ろの席でゆっくり待つとしよう。
五分後。
「誰も来ねぇな」
まだ五分しか経ってないしな。
更に十五分後。
「Zzz…Zzz…」
【寝とるし!】
(※↑は作者ツッコミです)
そして三分後。
「三組のB…ここか〜」
「Zzz…Zzz…」
「誰かいないかな〜。って、いるけど寝てる!」
うるせぇな…けど猫被らなきゃ…
「誰かは分かりませんが僕の睡眠の邪魔をしないでくだs…」
「おいっす!始めまして!」
うわぁ…俺の話聞いちゃいねぇ…。
つか、声聞いた感じじゃ女子だと思う。
俺は顔を上げてみた。
「あ、やっと見てくれた。始めまして、私は奈々村美咲。宜しくね」
テンション高けーなおい…。つーか結構可愛いと思う。
「君の名前は?」
「僕の名前は狼。影月狼だよ。僕のほうこそ宜しく」
とびっきりの笑顔(勿論作り笑いだ)で名乗っておく。猫被りは第一印象が大事なんだぞ。
「…う、うん。ねぇ狼君」
何で顔赤いんだ?
「あの…席、隣で…いいかな?」
隣?何でわざわざ…。まだ空席はあるのに。
「ごめん。隣は男子がいいんだ」
その方が話が合うだろうしなぁ。
「…そっかぁ。まぁいいや、じゃまた後でね狼君」
そう言って、奈々村は残念そうな顔でクラスから出て行った。
「おや、先客がいたか。俺が一番だと思ってたのに」
すぐにもう一人来たし。今度は男か。
「俺は筒井 見って言うんだ。趣味は人間観察だ。宜しく」
「影月狼だよ。宜しく」
オイオイ、趣味が人間観察ってお前…。
「じゃ俺はお前の隣の席をいただく」
それから暫くは二人で世間話をして時間を潰していた。
キーン コーン カーン コーン
「気がつけば他のクラスメートが来てるな」
予鈴が鳴った今では、名前は知らんがクラスメート達がいっぱいいる。
「そりゃあ初日から遅刻する人なんてそうはいないよ」
「それもそうだな」
後、話をしていて気付いた。見には猫被りを見破られてない事が。
ふ、俺の猫被りも上手くなったな…。
キーン コーン カーン コーン
…あ、本鈴だ。
――ガラガラッ
「おーい、皆ー席に座れー。これからHR始めるぞー」
俺はアイ・コンタクトを見に送った。
(ごめん、寝るから後で重要なこと教えて)
(早速寝るんかい!でも寝てるときにチョーク投げ来るかもよ?)
(何それ!?)
(俺の鍛え抜かれた人間観察眼が『あの先生チョーク投げそうだな〜』って言ってる)
(へぇ。まぁいいや。じゃ、おやすみ)
(了解)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「俺の名前は鮮血 深紅だ。一応ここの担任なんで宜しく。ちなみに、俺の授業で寝てる奴、遅刻した奴、赤点取った奴は問答無用で俺のチョーク投げが炸裂するぞ。覚悟しておけ」
本当に投げんのか…。それに覚悟ってオイ…。
…って、初の俺視点か!皆さん、俺です、見ですよ!
「先生、チョーク投げって覚悟するほどの物でしたっけ?」
ナイスな質問だな、クラスメートN。
「この学校の教師になるにはチョーク投げが常人よりも強くなきゃいけないんだ。んで、校内ランキングがあるんだが、俺はその中の四位だ。実力は…そうだな、遅刻してる奴がいるからそいつが来たら…ってもう来たな」
うおぉい!この学校って皆チョーク投げんの!?
「ち〜〜〜〜こ〜〜〜〜く〜〜〜〜だ〜〜〜〜!!!!」
あぁ…早速一人が餌食に…。
と言うよりも狼、初日から遅刻してる奴いたぞ?
「よーし、入ってきたら投げるからよーく見とけよー」
――ガラガラッ!
「到☆着!」
「遅刻してんじゃねぇ!喰らえおらぁ!」
――ヒュッ!
――パァン!
「ゴァッ!」
うおおおおおおおぉぉぉぉい!!!
どんな!?どんな破壊力!?
あいつ頭から血出てるよ!
「と、まぁこんなもんだ。ちなみに、これはまだ全力じゃないからな。授業で寝た奴には全力のチョークが飛んでいくぞ、分かったか?」
あれで全力じゃないのかい!?
「は…はい」×クラスメート40人分
「そんで、今ここで気ぃ失ってる馬鹿は…そうだな、筒井とか言うの、お前の前に座らせといてくれ」
「あ…はい、分かりました」
めんどくさいなぁ…仕方ない、運ぶか。
…ん?俺が動いたら狼が寝てんのバレんじゃね?
まぁ、いいか。
よし、移動完了っと。
「お〜し、今後の予定を確認するぞー。この後はまず…何だぁ?あいつ寝てるのか?ったく、しょうがねえなぁ。ま、初回だし八割くらいでいいか」
あ〜…狼が餌食に…。
皆も先生の八割(くらい)の力を見るためにめっちゃ見てるしなぁ…。
狼、ドンマイ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「起きろやぁぁぁ!死ねぇぇぇ!」
――ヒョォォン!
――パシッ!
んぁ…?何で俺の手に…チョークが…?
「?…おはよ……見。何で…僕はチョークを持ってるの?」
「おい…マジか…?」
マジかって何がだよ。
「お〜、俺のチョークをキャッチするかぁ。中々面白い新入生だ」
あらま、先生本当にチョーク投げするんだ。
「まぁいい。話を進めるぞー」
――――――――――
あの後、真紅先生の話でこの学校がいかに特殊なのかが分かった。
まず一つ目。
この学校はポイント制らしい。
主に学校行事で活躍、ランクの高いテストを受けて好成績を取る、後はまぁ、アレだ。普段の生活態度が良いとポイントがもらえるらしい。
で、そのポイントを使うと制服を改造できるようになったりブースターを改造できるようになったり、成績よく出来たり…その気になってアホみたいに溜めれば飛び級も出来るとか。
ま、他にも色々あるみたいだけど。
二つ目。
『報酬』制度。
どうにもポイントだけじゃ盛り上がらないらしくて、その時の校長の気分によってイベントの上位何名かに報酬が出るらしい。
噂じゃ気分がいい時は最新式のパソコン三台とか液晶テレビとか出るみたい。
三つ目。
イベントはテスト、体育祭とか以外にもあるみたいだけど、完璧校長の気まぐれらしい。
で、夏休みとかそういう長期休校とかでもやる時はあるみたいで、こっちは参加不参加自由だけど普通に授業のある日にイベント発生したら全員強制参加。勿論授業は潰れるから俺としては嬉しいけど。
基本はこの三つ。だけど自分に自身がある人はこんなこともいいらしい。
四つ目。
授業はサボっても良い。しかし、担任の先生と戦い、勝つこと。(もしくは逃げ切ること)
この時のみ先生は特殊能力っぽいのを使うことが許可される。
普通にサボってもいいけど先生に見つかったら即刻戦闘になる。
「俺に勝てるならサボってもいいぞ。」By真紅
以上がこの学校の特徴だ。
あ、もう一つあった。校門より内側に入るとブースターは勝手に消えて、校門より外側に行くと足下に出るようになってる。
…で、早速一年生のみのイベントが開始されるわけだ。
何でも、
『入学式めんどうじゃから早速イベントじゃ!』
とかこんな感じでイベントが開催が決まったわけだ。
うん…後で校長殴っとくか。
ま、報酬が早速いいもんだから良いんだけどね♪
そんじゃま、ちょいと頑張りますか。