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エピソード1 高校勝手に決められた

俺はこの前中学校を無事に(猫被りがばれずに)卒業した。んで受験も合格したんだ。

それで学校が始まるまですげぇ暇だったから昨日8時に寝ちゃったんだよ。

んで、昨日8時に寝た俺は、朝の3時半という微妙な時間に起きた。


「やっぱ暇だ…」

そう、暇だ。とても暇。


ピンポォン。


インターフォンがなった。

誰だよこんな時間に。

「こんな時間に誰ですか?」

「久しぶりだな。息子よ」

「…お袋」

はぁ…厄介な人が来たよ。

世界で凄く強い主婦のランキングに間違いなく三本指には入るであろう最強のお袋。

「何の用?」

「一つだけ伝えなきゃならない事が有ってな」

この(おふくろ)のことだ…。どうせろくな事じゃないだろうな。

「今日の7時位に迎えが来る事になっている。お前はそれについて行ってその学校に入ることになっている。受験した高校の事は気にするな。連絡済だ」

「それは絶対なんだろ?」

「ああ、絶対だな。確定事項だ」

こうなったら俺には止められない。そういう人なんだ、俺のお袋は。

「なに、気にするな。とても良い学校だぞ。それでは私はこれで行くよ。ダーリンが待ってるからな」

「もう帰ってくんな!」


―――――――――――――――

約、四時間後。

お袋が言ったとおり、本当に何か来た。

「え〜…とりあえず貴方誰ですか?」

「わしは校長じゃ。…ほれ、制服と登校に必要なブースターじゃ。これはかのミスターサ○ンが愛用したといわれるブースターじゃ」

「ブースターって…学校どこにあるんですか?」

「空じゃ」

「空ですか」

あぁ…平凡な学園生活…さようなら。

出来れば普通に過ごしたかった…。

「それじゃあそういう事で。明日入学式じゃから8時までに準備を整えておくように」

「8時までっすか。分かりました」

「7時50分には迎えに来るからな。それじゃあまた明日」

「また明日」

…何者だったんだ?あの校長。

本名名乗らないし、何も無いところから俺のブースター取り出してるし、ミスター○タンとか軽く危ない発言してるし…。

ま、お袋の関係者にまともな人はいないからしょうがないか。

えーと、制服に皺が出来ないようにハンガーにかけて、ブースターはまぁ…テーブルの上にでも置いとくか…。




今日は日曜日。今の時間は8時1分前。

そろそろ奴が来る頃…。よし、窓を開けよう。

「ろぉぉう!朝飯食いに来たぜぇ!」

前もって開けておいた窓から箸とお椀を持って飛び込んでくる奴は、俺よりも一つ上の斎藤 葉介(さいとうようすけ)って人。一人暮らしで俺と同じくヲタク。だがかなり整った顔立ちで、女子には人気がある。身長は185位かな。羨ましいぜ葉兄、俺なんか140…。

何故朝飯を食いに来るかというと、彼曰く、『お前の家事スキルはA+級だからだ!』だそうだ。ちなみにこの人、窓を開けておかないと飛び蹴りで窓ぶち破ってまで侵入してくる。三回ほど窓をやられた為、俺はもう諦めて食わせることにしている。

「はいはい…。ほら葉兄、ふりかけとインスタント味噌汁」

「わーい。今日はのり○まだ〜。って違うっ!おかず!手料理プリーズ!」

「面倒だから作ってない」

「何ぃぃぃ!?」

「そういう事で。ほら、出口はあっちだよ」

「…そんな…俺は一体何を食えばいいんだ?ってあっちの部屋にある皿は何じゃぁ!?」

「…ちっ」

「はいそこぉ!あからさまに舌打ちするのは止めなさぁい!」

えぇい、朝から五月蝿い奴だ。

「…んお?何だ、お前も俺と同じ学校来んのか」

テーブルの上にあるブースターに気づき、言って来た。

「え?葉兄も同じ学校なの?」

「おう。あそこは大変だぞ。楽しいけどな」

苦笑しながら俺に言ってくる。

「朝飯はまぁいいや。じゃ、俺は帰ってスパ○ボOGやってるわ。またなぁ」

「うん、また」

さて、疲れる人はどっか行ったし。

とりあえず食材の買出しとシャーペンでも買いに行くか。


まずはシャーペン。実は俺の家を出てすぐに、商店街がある。

面倒だからそこで適当なのを買おうと思う。

さてさて、財布持ってレッツ買出し!


…と家を出てみたものの、良いシャーペンを求めてその辺をふらふらしてたらスタッフロールにチンピラAとかBとか、そんな感じで出てくる不良(バカ)どもに囲まれちゃった訳でして。

「…ちっ、メンドくせぇ…」

逃げる事も出来るけどこういう奴に限って『てめぇ!あの時の!』とか言ってまた出て来るんだよなぁ。ま、人目の無いところに行ったらお袋直伝、影月流の拳を食らわせてやるけども。

…あ、言ってなかったな。俺の特技は影月流(これ)だ。もう一つあるけど。

なーんて説明してる内に路地裏ですとも。

「おいガキ、金くれや。俺達今金欠でよぉ」

「おとなしく出しゃ痛い目に遭わなくてすむぜぇ?」

「うるせーよ。黙れバカ」

「あぁ!?てめぇ調子に乗んな!」

チンピラA…茶髪が殴りかかってきた。が、お袋の地獄の特訓により鍛えられた俺には当たっても大したダメージにはならんので当たってやる。

こうすれば正当防衛が認められるから。

「ハッ。殴ったな?じゃあ殴られても文句は言えないよな?」

俺は一歩で相手の懐に入り、相手の鳩尾に肘を入れる。

「…ぐぇ…」

Aは腹押さえて蹲っている。

「一発でお終いかよ」

このやりとりを傍で見ていたB、C、Dは蹲っているAを拾って逃げていった。

お、Aの財布見っけ。今日はこれでパーっとやるか。


「ただいまっと」

Aの財布で大量の食材を買い込んだ俺は、昼過ぎに家に戻った。

誰もいない家に向かってただいまと言うのはもはや習慣となっているのでつっこまないで欲しい。

「おう、おけーりー」

何か居たぁぁぁ!

まぁ、いいか。どうせ居ても葉兄だからな。

「で、何で居るの葉兄?」

「昼飯食いに来たら居なかったからそのままここでゲームしてた」

「なるほど、とりあえず帰れ」

「腹減って動けませ〜ん」

テレビの前でだら〜っと横になる葉兄。

「そうだ葉兄、聞きたい事あるんだけどいいかな?」

「おう。いいぜー」

「葉兄の時も校長来てブースター渡されたの?」

「ああ、そうだぞ。あの校長身体能力と成績がそれなりに良けりゃ不良だろうが強制連行してくるし。ま、あまりにも悪い奴らだったら連れて来ないみたいだけど」

ふむふむ、要するに不良も居るのか。

なるほどなるほど…と考えてたらもう一言。

「それでも訳ありなら不良も連れてくるらしい。要するにあれだ、中身も見てから連れて来るか連れて来ないか決めてるんだよ」

「へぇ…」

「ぶっちゃけた話、そういう奴は殆どいねえけど」

「いないんかい」

やべぇ、思わずつっこんじまった。

「っはぁ…、腹減った…」

気がつけば晩飯の準備を始めるのに丁度いい時間になっていた。

「さぁてと、今から晩飯作るかな。茶碗持ってきなよ葉兄」

「おう?マジか?じゃ、取って来るとするか」

立ち上がり、窓から出て行った。

「はぁ…ま、葉兄が言うならそれなりにはいい学校なのかな」

ま、どうせ猫被って三年間過ごすんだけどね。


さてと、今日の晩飯はすき焼きだ。

とりあえず何が起きてもいい様に体力だけはつけておこうと思う。

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