エピソード12 これって告白って奴ですか?
―――そう、これはとある日の放課後のことだった…
「あの、その…一目見たときから…す、好きでしたっ!良かったら付き合ってください!お願いします!」
「だってさ、良かったな、狼」
「だってさ、良かったな、見」
「だってさ、良かったな、翼」
俺は見に、見は翼に、翼は俺に、完璧に同じタイミングで名前以外のところを同時に言った。
「「「………ぅん?」」」
何でこんなことになってるんだろう…。今日って何かあったっけなぁ…。
―――――――――――――――
〜半日前〜
「狼?どうした〜?返事しろ〜」
見が俺に話しかけている。
あぁ、そうだ、今日は火曜日。
土日のお袋・親父さんの修行を無事に乗り切ったんだよなぁ…。
んでもって猫かぶり無しで月曜に学校いったら皆すげー驚いてたなぁ…。
「あぁいや、悪い。もう、あまりの疲れで意識が違う世界へ飛んでた」
「何それ?頭大丈夫かお前?」
「うるせーな、お前よりは頭いいよ」
「…俺これでも頭いいほうなんだぞ?」
その後も喋りながら午前の授業を終え、見と二人で学食食いに行ったらそこで翼に遭遇した。
「おい〜っす、狼、見」
「狼、今何か聞こえたか?」
「空耳じゃないか?少なくとも俺には何も聞こえなかったし見えなかった」
「ちょ…」
「気味悪いな、さっさと行こう、狼」
「そうだな」
「無視ですか?放置プレイですか?」
「俺さ、最近ポイント無くなり気味だから学食やめて弁当作ろうかとか考えてんだけどどうかな?」
「材料費とか出してくれるんなら俺が作らんでもないぞ」
「………しくしくしく………」
「頼みたいんだけどな〜…ほぼ確実にあの3人に奪われるだろうなぁ…」
「ん?よく聞こえなかったぞ?」
「………グスッぐすっ……」
「普通に学食でいいかな」
「そうか」
「「………あれ?翼いたの?」」
「いたよ!さっきからいたよ!」
そして昼飯ー。
俺は掛け蕎麦、見も掛け蕎麦、翼はざる蕎麦。
俺達はテーブルではなく、調理場に一番近いカウンター席で並んで食っている。
…いや、啜っている。
――ズズズー、ズルッズルッ、ズゾゾー
うん。何かいいねー。
特に話すことも無いけれど、俺は今のこういう状況好きだぜ。
周りのこと気にしなくてもいいし、居心地もいいしな。
…これで、後ろで暴れている奴らさえいなけりゃなー。
「狼君には私のお弁当を食べてもらうのー!」
「いえ!私のお弁当を食べていただきますから天さんはお一人でどうぞ!」
「奈々村さんこそお一人でどうぞー!美味しくないお弁当食べて具合悪くなられたら困るから!」
「何ですかその言い方は!」
「そっちこそ何なんですか!」
あぁ、うるせー。
…ってかこんなに仲悪かったのかこいつ等…。
…あ、弁当箱が飛んできた。
「ホイっと」
うん。まぁ避けるよね。
わざわざ当たるのも面倒だし。
「せめてキャッチしてやったら?」
「めんどーい」
「いやめんどいってお前なぁ…」
前に向き直って昼飯をまた食う。
…もう一個も飛んできたし。何で飛んでくんだよ。
「よッ」
「いやだからキャッチしてやれよ」
「それよりもいいのか?今の、厨房に飛んでいったように見えたぞ?」
「え〜?大丈夫だ…」
「グハァッ!何だ!?弁当箱が飛んで来たぞ!?誰だぁ!飯を粗末にした奴は!」
「料理長ッ!落ち着い…ちょ!包丁を投げないで下さいって!うわわわわわ!」
「知ったことかー!俺は飯を粗末にする奴が大っっっ嫌いなんだぁー!」
「ちょっとリョーリチョー!?」
「副料理長!何とかして下さい!」
「スゥ……(←煙草吸ってます)フゥ……(←煙吐き出しました)
…そうなったら俺には止められん、暴れさせとけ」
「「えぇー!?」」
「ウガァーーーー!!」
「…」
「…」
「…」
……うん、大丈夫だ。
きっと大丈夫だ。
「アレでも大丈夫と言えるか?」
「天は既に逃げてるぞ。我が妹ながら、中々の判断力じゃないか」
「よし!囮作戦だ!翼を生贄にして俺と見が逃げる!以上!」
「おう、分かった!」
「おう、わかっ…ってフザケンナぁー!」
「やかましいっ!逝って来いやぁっ!」
オラァッっと蹴りを入れて厨房の方に飛ばす。
そ し て 逃 げ る !
「ッ!!飯粗末にしたのテメーかぁぁぁ!」
「おわっ!?中華包丁はやめれ!ってか犯人はあそこで走ってるチビともう一人だ!俺じゃない!」
チビ!?…チビ?
チビだとぉ!?
「テメー誰がチビだボケこらぁぁぁぁ!」
振り向いて飛び蹴りを放つ。(3割くらいの力で)
「甘いわボケチビがぁぁぁ!」
見事に片手で足を掴まれちまったぜ…。
しくじった…。
「おいおっさん、月見そば一つくれ」
「おっ飛沫の旦那!いい所に!あの逃げてる奴をとっ捕まえてくれ!この3人に俺の裁きを与えなきゃ気が済まん!」
「あぁ、真紅のクラスの…名前なんだっけ?忘れた。まぁいい、捕まえるから一週間飯奢れよ、おっさん」
おうよ、と料理長が言っている間に何処からかチョークを取り出す血飛沫先生。
…なんでチョーク持ってんの?私物?
「そらっ。…爆ぜろ」
向こうでパーン、と快音が響いた。
それと同時に、見が飛んできた。
「ぐえっ」
「「あ、おかえり」」
「クククククッ!さぁ、捌かれるのと卸されるのと潰されるの、どれがいいか選ばせてやろう!さぁ選べ!」
「こらこらおっさん、捌くな卸すな潰すな。後処理が面倒だ、特に血痕とかな。…最近のルミノール反応薬とかマジすげーからよ。せめて雑用させるくらいで許しとけ」
心配する所そこっ!?
ルミノールとか言わないで!?
まぁ、俺と翼は逃げれるんだけど見がな。
「旦那、処理なら俺がやるんで大丈b「待て」」
「スゥ……(←煙草吸ってます)フゥ……(←煙吐き出しました
時期的にちょうど良い頃だろう。明日明後日にはメニューが全て中華に変わるからな。中華鍋や調味料の運搬をやらせとけ。後はまぁ、食器の片付けとかで良いだろう」
「そうっすよねぇ。料理長の場合…『ハッハッハッハッハ!秘技!300枚卸!』とか言って、そりゃーもう人肉の生き造りみたいな状態になるでしょーし」
「やっぱり副料理長は常識人ですね」
「スゥ…(煙草を以下略)フゥ…(全略)
まぁ、そういうわけだ。放課後に…ん?中華用の調理器具は何処だったっけ?…あぁ、思い出した。一・二年塔の倉庫にある筈だそこから道具を運んできてくれればいい。以上だ、なぁ料理長?」
「………納得いかん」
「以上だ、なぁ料理長?」
「納得いk」
「以上だ、なぁ料理長?」
「……分かった分かった。それでいいよ、もう」
「そういうことだ。じゃあ放課後にまた来てくれ」
そして放課後、俺達3人は厨房の前に行った。
「このメモに書いてある物を持ってくるだけだからな、頼んだ」
どれどれ…?
『雑用リスト
中華鍋×20
中華鍋(大)×15
中華鍋(小)×25
豆板醤(大瓶)×50
コチュジャン(大瓶)×50
テンメンジャン(大瓶)×50
etc...』
「…………」
「何で無言で俺の方見んの!?」
「いやだってお前バカ力じゃん」
「それと見!お前そのロープどっから出したんだよ!?やめて怖いから!」
「三次元ポケットから出しただけだが?」
「割と普通の答えが返ってきた!?」
「ほーら行くぞー」
「お前達雑用やる気ないだろ!?」
「「当たり前だ」」
――――――――――――――――
そんなわけで今の状態になっているわけだ、うん。
ちなみに今は倉庫の一歩手前にいるわけだ。
いやホントどうなってるんだろう?
次回に続かない。【いやいや、続きます by作者】
作 どうもです。お久しぶりです
狼 何挨拶かましてんだこの野郎は
作 久しぶりだから?
狼 どうでもいいわ、ボケ。つーか何だよあの料理長。危なすぎるだろ
作 うん?あの学校は時期で料理人変わるからね。個人的に副料理長が好き
狼 あぁ、あの渋いオッサンか。確かに外見もカッコよかったな。って違う!冒頭のアレは何だ!
作 何って告白?
狼 アレはどうやって処分するんだよ!
作 君の気合で?
狼 何で疑問系なんだよ!
作 と、言うわけで次回も狼君が頑張ります。次話はわりと早めに書けると思います
狼 精霊の方に力入れ過ぎなんだよテメーはよ
作 良いじゃん、真面目に書いてるんだから。それではまた次回!