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【1】第2の人生を歩もう

どうも皆さんこんにちは。「かりものクン」と申します。

僕が小説家になろうで、アカウントを作ったのは少し前で、その時は読み専でした。

一応別サイトの方で小説を何本か出させてもらっていたのですが、自分も出してみたいなと思い、書いてみました。

正直あらすじだけでは分からない部分も凄くたくさんあるので、そこは是非本文を見てもらえれば幸いです(汗)

詳しくは活動報告にでも書こうかなw

首都、東京まで行くのに約2時間かかる田舎の町。高い山から見渡してみると高層ビルはもちろん、目立った建物は一つもない。

民家が並んでいてどの家も今ではあり得ないような昭和の家がたくさん建っている。

小学校も、中学校も高等学校も。創立100年を超える学校ばかりだ。大学へ進学するためには、都会のある地域で越さなければならない。

長々と説明をしているが、実際は普通の田舎と全く変わりは無いのである。


そんな田舎町で、ある一人の命が絶った。

この町で有名なお店。『おおとりパンや』の4代店主大鳥清司(おおとりきよし)。享年95歳。

死因は老衰死。95歳まで続けていたパン屋の店主は大鳥清司の息子である大鳥元(おおとりげん)に譲り、静かに命を引き取った。


……一人の少女の泣き声を聞きながら……


「お爺ちゃん!お爺ちゃん!」


瘦せ細った清司の体をユサユサと揺すりながら必死に「お爺ちゃん」と名前を呼ぶ少女。

この少女は大鳥元の娘、大鳥紀衣(おおとりきい)。清司の孫である。

年は10歳。精神的にも少しづつお姉さんになっているのだが、この時だけ。この時だけはまだ小さな子に見えた。服は涙で濡らし鼻水を出しながら泣いている。


紀衣は清司の事が大好きだった。優しくて強くて、頼りになる祖父。

毎日のように愛してくれて何でも相談に乗ってくれて話し相手にもなってくれた。

父は新しいパンのアイデアに朝から晩まで頭を悩ましており、営業時間は普通に接客をし、閉店時間になるとまるで趣味に没頭するかのようにパン作りに体力を削る。

母は家事で忙しいし、父と一緒になってパンのアイデアを考える。だから、紀伊の話相手になってくれる人は清司以外に居なかった。


だから「お爺ちゃんはね。天国に行ったんだよ。これからは天国で紀衣の事を見守ってくれるからね」と、母が涙を浮かべながらそう言ったときは、喪失感に心までも覆われた。


それが、『死』を意味すると理解した時には、涙がブワっと目から溢れ出していた。


何度も何度も「お爺ちゃん!」と叫ぶ。けれども反応はない。


「ねぇ……寝てるんでしょ?も、もう!何度も言わないと起きないんだから!ほらっ、早く起きてお話しようよ」

肩をトントンを叩きながら問いかける。やはり反応はない。表情も変わっちゃいない。

「き、紀衣?さっきも言ったがもうお爺ちゃんは……」


再び紀衣は泣き出した。今度は布団の上に顔を埋めながら。何も言わず泣いていた。


「本当は伝えたくなかったのに……だけど紀衣はお爺ちゃんが大好きだったから。ねぇ、アナタ。これは正しい判断なのかしら」


母の大鳥茉莉(おおとりまり)は、紀伊を見ながら元に問うた。

元は唇を噛みしめ、


「仕方……無いんだ。これから先何日も親父の顔を見れないとなると流石に疑問になってくるだろうし」

「そうだけれど。だけど、流石に私たちも心の痛みが増してくるのよ……」

「紀衣がお爺ちゃんを好いていたのは話をたくさんしたし、されてきたからだって。ならば俺たちがこれから紀衣の話相手になるしか無い。毎日毎日パンの事ばかり考えて何にも考えてやれなかったし……紀衣の事」

「そうね」


茉莉は手を合わせて目を瞑った。お祈りだろうか。

引き戸がガラガラと開く。振り返ってみると、そこには医者がいた。大変申し訳ない顔と、まるでこちらに同情するかのような顔で。


「この度は、お悔み申しげます……」


この後、医者と父、母で3人で話していたが、紀衣には何も聞こえなかった。泣きは完全に止まり、そのまま布団に顔を埋めたまま、何かを考えるかのようにジッとしていた。









気が付くと、周りが真っ白な空間にいた。地面がフワフワしている。

立ち上がって下を見てみると、フワフワした何かに乗っていた。よくよく見てみると、わたあめみたいな浮遊物がフヨフヨしていた。

それで気づいた。今、私は雲の上にいると。


「ここは……」


私は……なぜここに……


なぜだかわからないが、自分の事は凄くしっかりと覚えていた。

自分は大鳥清司だということ。そして、自分は確かにあの時死んでいること。

そして、色々な記憶を蘇らせているうちに、ある二つの疑問が残った。


なぜ私は立てている?


80代後半を超えてから、足に全く力が入らなくなり歩けるには歩けるのだが、徒歩をするのが完全に困難になっていた。

そのため、車いすに乗って生活をしていた。

90歳を超えると、立つのも困難になっていき、車いすがずっと続いていた。

ここにいる自分が、死んだ時の自分そのままのはずなら立つのも困難のはずだ。なのに今は雲の上に立っている。

これはどういうことなのだろう。


そしてもう一つ。


自分の幼い頃の記憶まで鮮明に覚えている。


ボロボロのリュックを背負いながら坂を駆け上っていく自分の姿。

今は亡き父親にパン作りを教わっている姿。

結婚をする姿。息子が生まれた時の記憶。成長していく息子の姿。だんだんと老けていく自分の姿。

そして孫の姿。


普通だったらよほど自分にとってビックリする事、いつまで経っても覚えている記憶じゃなければその他の記憶なんて忘れているか思い出せないはず。

なのに、全てを覚えている。変わっていく街の風景も今まで関わってきたものすべて。覚えている。


「起きましたね……なるほど。7年のご就寝でしたね」


急に目の前に自分の顔が映りこむ。よくよく見たらそれが鏡だと気づくのは少し時間がかかった。

鏡が司会から消えると、前に天使の羽が生えた見上げるほどの大きい天使がいた。先ほどはいなかったはずなのに。


「「おはようございまーす」」


と、言いながら鏡を二人がかりで持っている小さい妖精さんみたいな天使が挨拶をする。


「あ、どうも……」


ペコリとお辞儀をする。正直言いたいことが多すぎて頭が少し混乱してしまったようだ。

とにかくこうすればいい。とお辞儀をする事にした。


「まぁまぁ。そんな固くならなくて結構ですのよ。まぁ無理もありません。まずは説明が必要ですね」

「あ……?」

「あぁなるほど。高齢の方でしたね。少し若返らせますか」


と、天使が言うと大きい杖を魔法で取り出して、ブツブツと何かを唱え始めた。

地面に魔法陣が出現し、不思議なオーラが身を包み始めた。

ゴルフボールみたいな玉がたくさん出現し、自分の体内に入ってゆく。

一つの玉が入っていくと、不思議な事に筋肉がどんどんと溢れてきて、身長も少しづつ高くなっていった。

白髪だった髪も黒髪に戻っていく。本当に若返っているようだ。

不思議な魔法が終わると、魔法陣は静かに消える。


「あれ……」

「成功ですよ。背中を伸ばしてみてごらんなさい」


天使に言われるがまま背中を伸ばしてみると、キツさを感じずに背筋をピーンと張る事が出来た。


「お、おぉ……」


なんて言ったらいいか分からないほど不思議な事が起こり続けている。

もはやファンタジーの世界なのではないか。と疑ってしまうほどに。


「年齢は大体20代って所ですね。どうです?自由に話すことができて自由に体を動かせるようになった快感は」

「凄い……私は本当に若返って……これは夢かい?」

「いいえ。現実……あなたがいるこの世界。立っている場所。にわかにも信じがたいですが、天界です」

「天界?天国では無く、天界なのかい?」

「はい。天国は善ある死人が住んでいる場所です。ここは天国ではありません」

「まさか本当に天国や天界が存在するとは……本当に、夢ではないのですね?」


どこでも言われている天国と地獄の存在。嘘をつくと閻魔大王様に舌を抜かれるという証明のしようがない世界が、本当にあるとは思いもしなかった。

あるメディアやマスコミなどが天国と地獄の存在に多いに語っている本や新聞などがあるが、それも本当とは言えないし、信ぴょう性が薄い。


「夢ではありません。私は……神とでも言えばいいでしょう。そして貴方がここにいる理由。それは……やり残したことが現世に残したまま命を絶った死人。貴方は何かしらの理由でここに来た。理由は分かりますか?」

「やり残した事……?」

「はい。貴方は現世の誰かにこうしたかったと思っていらっしゃったようですよ?」

「そ、それは……」


記憶をたどってみる。息子である元にはもう教えることは全て教えた。男としてあるべき姿。とか親父くさい言葉をばっかり並べながら。

そのおかげで今じゃパン屋の店主を継いでくれて一丁前の男に磨きをかけてくれている。

言っちゃ悪いが息子には何も思い残す事はないと思う。

そうでないのならば……


『お爺ちゃん。お爺ちゃんもずっと家にいないでさ。一緒に外出てこの町を歩こうよー』

『ハハハ……近いうちにな』


『お爺ちゃんはどうしてお婆ちゃんをお嫁さんにしたの?』

『うーん。分かりやすく言うのなら……優しかったからかの……詳しいことは、紀衣が大きくなってからな』


思い返してみれば……紀衣の質問に全て答えられていなかった所もあるし……要望にも応えられていなかったなぁ。

たった一人の孫が大好きで……学校から帰ってくる度に話をした。たくさん笑った。

なるほど。自覚していなかっただけで本当は大事に想っていたんだ。紀衣の事。


「孫に伝えたい事がたくさんあります」

「まぁ。お孫さん思いのいいおじい様ではありませんか。これは珍しいですね」

「めずら……しい?」

「ウフフ。気づいていらっしゃらなかったようですね。周りを御覧なさい」


周りを見てみた。その瞬間目を大きく見開き、驚きを口に出せずまま、その場に立ち尽くし、硬直した。

そこにあったのは、大量に倒れている人間の姿だった。まるで死んだように眠っている。

男性の他にも女性がいて、年齢もゴチャゴチャだった。若ければ自分みたいに結構年がいっている人もいる。


「これは……」

「貴方達は転生者。それも……転生先は現世。元居た場所へ還るために集めた選ばれた人たちです」

「選ばれた?」

「そう。貴方みたいに純粋なやり残しがある者で、閻魔大王さんの好評を得た者だけが来る世界です」


そのあとの説明を詳しく聞けばこんな感じらしい。

死んだあと、魂は閻魔大王様の所へ行き天国か地獄かの判決をする。勿論生前凶悪を犯していた者は地獄へ。その地獄にもさまざまな種類があるらしい。

でも、一度も過ちを犯してはいない人でも、地獄に落とされる可能性はある。生物を殺したり、花などを踏みつぶしたりなど、本来あるべき命を絶った事も加算されてそのトータルで天国か地獄か決まるらしい。


その中での転生者は、条件があり、生前のトータルで天国行きと認められたもの。そして、閻魔大王様の好評を得ること。

得るためには、本当に純粋無垢な想いなどを現世に置いて逝ったものなど。

どうやら閻魔大王様は怖いイメージがあるが、意外に涙腺が緩く、ちょっとした事で感動してしまうらしい。閻魔大王様にもカワイイ一面があるとは驚きな話なのだが。


このように、好評を得た者は、現世への転生を許される。許された魂は元の肉体を復活させ、ここ。天界に送られる。

ここにいる神様は転生者が一人一人起きるたびに毎回こういう説明だのをして転生者を現世に送るらしい。

ちなみに、転生者は起きるのに最低5年はかかると言われる。今まで最高で15年くらいここで眠っていた者もいたらしい。平均的には10年くらいで生まれる人が多いだとか。


「なんとなくですけど分かりました」

「理解していただいて嬉しいです。では、ここからは転生について、語りましょう」


唾をゴクリと飲んだ。また、長い説明があるのだろうか。


「まず、現世に行くときには、一人の肉体を借りることになります。元の魂は私の方で管理。貴方の魂と交換する事で、現世への転生を果たすことが」

「え、すいません。質問いいですか?」

「はい」

「なぜ、肉体を借りるのです?元の……というか、この肉体のままではダメなんですか?」

「はい。現世ではもう無くなっている肉体。私の力で再生は不可能です。まったく同じの遺伝子情報などを再現させるのは無理なのです。そもそも死んだはずの人間が歩いている。おかしいでしょう?」

「は、はい」


なんか、とても悪い事をしてしまう罪悪感がある。勝手に人の魂を奪って肉体を貰い、生活をする。なぜそこまでしなくてはならないのだろう。


「勝手に肉体やらを奪ってしまって大丈夫なのでしょうか」

「奪う……というよりは、楽にさせてあげるだけです」

「楽?」

「今まででそのような質問をされる人はあまりいなかったので、あまり言わなかったのですが……言っておきましょう」


神様は続けて説明をする。


「貴方が起きた理由。それは単なる目覚めではありません。適応者が現れたのです。それは何か。それは自殺を図ろうと考えた人。その人の心は絶望に覆われており、とても今を生きるのは難しい人です。その方の肉体を借ります。だから貴方は適応者が現れた事により、目覚めたのです」

「その適応者というのは……具体的にどういう」

「貴方の場合、お孫さんを選びました。ですが、それは既に私の耳には届いております。先ほど、現世に戻って何がしたいか。の質問は知っての上の質問でした」

「はぁ……」

「そのお孫さんをターゲットにするのならば、その近辺の住民、同じ年齢を条件にして探しました。そして今日、その人が見つかったのです」


なんとも高齢者の自分からしてみれば訳の分からない話で正直混乱しそうだったが、でも、言っていることは何とか理解することは出来た。

要するに自殺などをして、人生終了させようとする人の魂と、自分の魂を交換し、転生を果たすということ。


「さて、時間がありません。現世にいる適応者の考えが変わらないうちに早く転生を済ませなければいけませんね」

「あ、あの。最後に一つ。その……今から私の魂が宿る人の名前は……」

「そうですね。その方の名は……」




前野大暉(まえのたいき)



前野大暉……今から肉体を借りる人の名前。

知らない名前だ。パン屋に来ている常連さんでもなさそうだし。だけど、自殺を図ろうとするのだから、相当重い悩みでも抱えているのだろう。


前野大暉さん……今からしばらくの間、お体をお貸しください。


そうお願いを心の中でしておいた。


「さぁ、時間は来ました。今から貴方の意識を完全になくし、魂のトレードを開始します」

「はい」


覚悟は決まった。


「最後に二つ。貴方が現世に完全に思い残す事がなくなった場合、転生は終了。こちらに戻されます。そしてもう一つ。それは、大暉君の人生を歩む以上、災難がたくさん降りかかります。それでも必死で生きてください」


返事をしようと思ったが、口が開かず、意識がどんどんと遠くなっていった。

目の前が真っ暗になる。自分が倒れた感覚は無い。

もう何も考えられなくなり、そのまま意識は完全に消えていった……










やけに周りがうるさい音がする。頬には何か冷たいものが当たっている。目が開いた。そして最初に見たのは、草。その草は、気持ちよさそうに日光に浴びるかのように光を反射していた。

よくよく見てみると草の葉には雨粒が付いていた。

それが雨粒だと分かると、体全体が濡れている事に気づく。


ゆっくりと起き上ってみる。体はグッショリと濡れていて髪の毛の先端から雨水がポタポタと垂れている。

手を見てみる。泥だらけのその手は、確かに元の自分の体の物では無かった。

目が完全に覚めた。振り返ってみる。


自分がいた場所は高い山の途中で、ここから村の風景と、暖かい太陽の日差しが差し込んでいた。


「……戻ったんだな。村に……!」


フッと笑い、麓に向かって歩き始めた。


始まるんだ……ちょっと変わった生活が。私の目標は紀衣に今まで伝えられなかった事をしっかりと。私の口で言う。それが最終目標だな。

まずは、一話。読んでいただきありがとうございます。

どうでしょうか?話は分かりやすかったでしょうか。

これが私の第一作目、第一話。スタートを切った瞬間です。まだまだ文才能力も低いので勉強をしながら上げていきたいと思います。

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