Glow World 第二章 「進撃」
第一区切りです。
翌日になった。
オレ、優陽は昨日に色々なことが起きた。
由美子先生には抱きしめられるわ。地獄には毒を制すっていうことわざがあればいいな。
雑談だが、ドラえもんのオープニングで「あんなこといいな、できたらいいな」っていう歌詞があるのはご存知でしょう?その「いいな」を英語の「Will」で例えると便利だ。絶対ではない予定。
あるかもしれないけど無いのかもしれない、というあやふやな感じだ。
「......って、んなこたぁ。どうでもいいんだよ!!大体何なんだよ!? 昨日の!」
そう、オレは死体を目撃してしまったのだ。虫の死骸とは格が違う。
吐き気が込みあがったんだ。
と、昨日のことを思い返しながらオレは妹達のいるリビングへと降りていった。
相変わらず騒々しい。でも、昨日はあんなことがあったのだ。騒々しいだけでも気持ちが安らぐ。
変わらずオレは楓夏に朝食を口の中に投げ込まれて、散々だ。でも、本当に助かる。
そして、オレは学校へと向かった。
◇◆◇◆
さて、昨日のあの後を思い返してみよう。
「め、目覚め...!?」
そんな馬鹿なことがあるか。オレはもう朝から目覚めてるっての!
怪訝に見つめ返していると美少女は、薄く微笑んだ。まるで、その言葉を待っていたかのような不気味さが彼女にはあった。
「ふふ、そんなに張り詰めなくてもいいのよ? アンタは目覚めてるの。この意味は、今アンタが考えてるようなものではないわ。そう、現実のことなのに、現実では無いようなものに目覚めてるの。」
楽しそうに喋るその彼女が、ひどく怖かった。
最初に思ったのは、何を言っているんだ。この一言だ。
とりあえず分かることは、この女が何かを知っていることだ。
「ふぅん、そう。私は何も知らないわ。」
ん?あれ。
「そんなに不思議がらなくていいのよ? とりあえず、立てる?」
女がオレに手を差し伸べてくる。オレはその手を取り立ち上がる。
どうして...
「どうして私がアンタの考えが分かるって? 簡単よ。優陽君、あなたの表情を見て察してるだけなの。私、メンタリスト的な存在だから。」
め、メンタリスト?あれか、メンタリズムのやつか。心理術の...。確か、Daigoさんがメンタリストなんだよな?
「? まぁ、大体分かってるみたいなのね。さて、優陽君。アンタは今回のことは忘れなさい。分かったね?」
「お、おう...。」
えー、どうしよっかなー。とは思ったが直ぐにその思考を止めた。何故なら、その女がオレを睨んでいたからだ。怖くて寝れないよママー。
安堵の溜め息なのか、女ははぁっと溜め息を吐いて、くるっと踵を返して立ち去ろうとしていた。
「お、おい!お前の名前はなんだよ。」
ぴたっと歩みを止めてゆっくりと振り返る。その動作が絶妙に美しかった。
「名前? 名乗る程でもないのだけれど、そうねー...。秘密さんっでいいわ。」
「本名だ、分かるか?」
「馬鹿にしないで。こ、これはただの挨拶よ!!本名は訳有りで言えないわ。」
「おう、それなら。」
女は頬を赤らめながら早足で去っていた。
◆◇◆◇
以上が、昨日の死体発見後の出来事だった。
あんな美少女だから、きっと名前も美しいのだろう。
そんな思いを胸にオレは今日の素敵な出会いを求めて学校へと歩みを進める。
「優陽ぃぃぃぃっ!」
教室に入った途端に宗佑がオレに泣いて喚いて近づいてきた。
オレはそんな宗佑を頭を優しく撫でた。
「どうしたんだよ、宗佑。」
母親のように微笑みかけると、宗佑が口を開いてきた。
「また出たんだよぉぉぉ!」
「何をだよ」と言おうとした途端に、周りの女子からヒソヒソ話が聞こえてきた。
「ねぇねぇ、朝からイチャイチャしてるよー。ねー。」
「さすが校内一の有名人、ホモップルだよねー。マジ引くわぁ。」
そのホモップルは、ホモのカップルの略らしい。
だが、ちょっと待て。オレはホモじゃない。こう、友達がな。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
宗佑がオレの胸に顔を埋めて泣きじゃくる。
最悪だ......。
その後、ホモの件には解けなかったが...宗佑の話が気になった。
「また自殺者が出たんだ。どうしたらいいんだよ、我が親友......。」
こう見えても宗佑は正義感が割りと強い方だ。でも、問題なのは最初。
「おい、その「また」ってなんだ。」
嫌な予感がする。
「ん?知らないのか?自殺者だよ自殺者。また出たんだ。」
その自殺者は昨日の子だろう。でも、でも。
「おい、いつからそれが起きた。いつからその自殺は起きた!?最初はいつからだ!?宗佑!!」