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第09話 強敵出現

 その夜、遠くで獣の遠吠えを何度か聞いたが、襲撃されることはなかった。

 次の日の朝、俺は焚き火に砂をかけて消し、水場に向かって再度進むことにした。

 そろそろ、持ってきた水がつきかけている。

 早く補充する必要がある。


 てくてく歩いて行くと、3時間ほどして幅が30メートル近くある川に出た。

 空になった1.5リットルのペットボトルを取り出し水をくんでみる。


 川の水を上から見ると結構綺麗に見えるが、ペッボトルに汲むとやはり微妙に白く濁っている。

 また、臭いを嗅ぐと川の水の独特の臭いがする。

 まあ、最悪煮沸すれば飲めなくは無いだろうが、場合によってはそれでも腹を壊す可能性はある。

 なんだかんだいって、煮沸滅菌しても細菌性以外の毒は取り除けない。


 そこで1つ考えがあった。


 1.5リットルのペットボトルの底を切り抜き、キャップに小さな穴を開ける。

 そして、キャップ側を下にして、順番にきめ細かい砂、

 粗い砂、小さい砂利、大きな砂利と徐々に粗めの違う素材を入れる。

 その後、上から川の水をくんで流し、天然の浄水器を作る。

 1時間したら、500mlの綺麗な水を生成することが出来た。

 川の水と比べたら、透明度は段違いに違うことが分かる。

 臭いを嗅いでも、無臭である。


 後は、これを煮沸すれば完璧である。

 定期的にろ過の中身を取り替えれば何度でも使える。

 これで水の問題は解消した。

 水の問題が解消した頃はすでに太陽が真上に来ていた。

 俺は昨日のイノシシ肉を取り出して、少量切り取りヴィゼルの前に置くと、嬉しそうに食べ始めた。

 残りの肉の3分の1を切って、またフライパンで焼いて塩コショウで食べた。


「毎回塩コショウ味の肉だけじゃ、飽きるなぁ」


 不満を感じつつも、我慢して食べる。

 俺は肉を頬張りながら、次の事を考える。

 次、必要なことは、寝床を確保すればいいだけだ。

 場所的にどのあたりがいいだろうか考える。

 水場からあんまり離れるのは良くないだろう。

 ただ、近すぎても洪水等が起きた時危険である。


 ザーッとあたりを見渡すと、川の少し上流に小高い丘がある。

 あそこあたりであれば、見通しもいいので外敵に対して警戒しやすく、洪水が起きても高台になっているので最悪、時間稼ぎができそうだ。

 俺は食事が終わると、さっさと片付けて小高い丘の上に向かうことにした。

 丘の上に着くと、遠目からはわからなかったが洞窟があった。

 雨風を凌ぐには格好の場所だ。

 ただ、問題にも気づいた。

 洞窟前の地面には、明らかに大きな足跡がくっきり残っている。

 長さが50センチくらいある。

 サイズ的には1種類だ。

 その足あとは、そのまま洞窟内部に向かっているのが分かる。

 洞窟の主かもしれない。

 足のサイズから見て馬鹿でかい生き物であることは容易に想像できる。

 俺は洞窟から少し離れた位置の木に登り、観察することにした。

 大きな枝が絡まった部分を足場にし、周囲から木の枝を切ってきて、カモフラージュのために覆い隠す。


 カモフラージュの枝の隙間から、オペラグラスごしに洞窟入り口を監視する。

 一時間ほどして、ヴィゼルは退屈になったのかぐずりはじめた。

 遊んでくれと言わんばかりに、猫のように体を俺の足に擦りつけてくる。

 俺はうっとおしいと思いつつも、軽く頭を撫でてやる。

 そうこうしているうちに、洞窟から主が現れた。

 身長は2メートル以上あり、灰色の体躯に筋肉隆々のマッチョなボディであちこちえぐれたような傷が無数にある。

 醜悪な顔で、頭には不規則に小さなツノが生えている。

 右手には棍棒を持ち、ゆっくり洞窟から出てきた。

 俗に鬼もしくはオーガという言葉がぴったりな奴だ。

 そいつは一度洞窟入り口で大きく伸びをした後、のそのそと歩きながら森の中に消えた。

 それから3時間くらいして、そいつは左手に大きな雌鹿を抱えて戻ってきた。


「話し合い・・・無理だろうなぁ」


 俺は独り言をつぶやき、膝の上で丸まって眠っているヴィゼルを見ながらどうするか思案した。


(やはり、罠を仕掛けるしかないか)


 相手は2メートル級のマッチョ。

 こちらは基本インドア系。

 ガチンコにぶつかれば勝負は見えている。

 ただ、こちらには異様に切れる剣と火炎放射が使えるヴィゼルがいる。

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