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その4 次の日

 窓から差し込むキツイ日差しを受けながら、今日も私はゆっくりと目を覚ます。

「もう朝か……」

けだるさを感じながらベッドから出ようとすると、何か柔らかくて人肌程度に暖かいものが首に巻き付いて離れなかった。

「……ん?」

 何なのか確かめるために顔を横に向けると、そこにはバイト中で見慣れた七恵ちゃんの無防備な寝顔がある。ツヤのある黒髪が窓から差し込む日差しを浴びて、とても神秘的に輝いて見えた。居心地の良さにまどろんでいると、私は部屋に帰ってくるまでの記憶を思い出していく。たしか、七恵ちゃんと朝までやっている居酒屋さんで飲み直して、彼女を部屋に泊めたのだ。

「あれ、私……床で寝てなかったっけ?」

そんなことを考えているうちに、七恵ちゃんがモゾモゾと起き出す。私の首にからみついた腕がほどけて、ようやくベッドから起きあがった。

 窓のカーテンを開けると、今日も透き通った青色の空には夏のように重たくて存在感がある雲と冬のように幾分光が弱い太陽が浮かんでいるのが見える。

 太陽を眺めながら大きく背伸びをすると、七恵ちゃんもようやくベッドから抜け出してきた。

「おはよう……ございま……すぅ」

お化粧を落とした七恵ちゃんの顔は、まだどこか幼さが残っている。

「うん、おはよう」

 私は台所に立つと、水を入れた薬缶を火に掛けた。

「簡単だけど、今朝食をつ……」

口に出した言葉を最後まで言おうとしたとき、何かが窓を叩きつづける音が聞こえてくる。窓の方を見ると、磨りガラス越しに小さくて形の良い形が見えた。

「……っあ!」

「……っあぁ!」

眠気が一気に覚めた私と七恵ちゃんは、顔を見合わせると笑いあった。







 小さいけど形の良い黒猫が、また何かを持ってきたらしい……。


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