7、シンゲツのクロネコ
今回は焦って書いたため駄文になった可能性大(汗 間違いを見つけた場合、容赦なく指摘してください!
俺はヒカルと一緒にとある高層ビルの屋上にいた。
そのヒカルは、俺の渡した高性能双眼鏡(赤外線暗視機能付き)で、少し離れた建設現場の方を見ていた。
正直、怪しい過ぎるがここは気にしないことにする。
「…なぁレイ、あれホンマにカケルか?」
ヒカルは唖然とカケルの様子を見ているようだ。
「あぁ、あれが伊達カケルの別名『新月の黒猫』の姿だ。俺は黒猫と呼んでいるが、俺以外のほとんどが新月と呼んでいる」
俺も予備の双眼鏡でヒカルと同じ方を見る。
…昔と変わらない。
もう見られないと思っていた。
ニ年前…
入院したカケルを見舞った時、彼から聞いた言葉は弱々しいものだった。
〔俺は守るべきものを守れなかった。俺は…本当は他人を守れるほどの力はなかった…〕
それからカケルは『新月の黒猫』の姿を、自分を『俺』と呼ばないことで封印したようだった。
チキンの『僕』として、すべての事から逃げようとしていた。
だが…
「自分でなく、他人の危機に目覚めるか…黒猫らしいな…」
「ん…なんか言ったか?」
「あぁ、ひとり言だ」
いつの間にかヒカルが俺を覗き込んでいた。
「それより、これからカケルをしっかり見とけ。見れば、何故『新月の黒猫』と呼ばれるか分かる」
そう言いながら俺自身、これから起こることを見逃さないために、目線をカケルに戻した。
―――――――――――――――
「さすが四谷財閥最強の男、嬢ちゃんのピンチにはすぐ駆け付けるんだな」
タコが目の前のカケルにむかって、なめた口調で話し掛ける。
「…勘違いすんな。俺は気分で来ただけだ。それに、俺は四谷をやめた」
一方のカケルは、足元の猫をしゃがみながら片手でじゃらしている。
でも、その金色に輝く瞳はタコを見据えてた。
そんな二人を見ている私の頭は混乱していた。
誘拐なら小さい頃から何十回もされている。
今更慌てることじゃない。
だけど…
「なっ…なんであんたがこんな所来てるのよ!! それに四谷財閥最強!? 昔の話ってなに!? わけ分かんないっ!!」
カケルがここにいることも。
二人の会話の意味も。
すべてが分からなかった。
「へぇ、嬢ちゃんは知らないのか? あんたも可哀相だな。ニ年前、嬢ちゃん達を守るために、何発も銃弾体に埋め込まれて死にかけたのにな」
「えっ…」
ニ年前、確かにカケルは怪我して入院した。
私はちょっとした骨折としか聞いてない
面会謝絶はされてたけど、ニ週間後には学校に来ていたから気にもしなかった。
…私は関係者なのに、なにも知らなかった…
「せっかくだから教えてやるよ。こいつは四谷財閥の隠密・障害抹殺部隊長『新月の黒猫』と呼ば…っ!」
ヘラヘラしゃべってたタコの言葉が突然止まる。
「黙ってくれ」
カケルの声が聞こえたけど、カケルがいた場所には寝転がる黒猫しかいなかった。
「昔話はもういい。とっとと始めよう」
威圧感のあるカケルの声は、タコの目の前から聞こえた。
そして、タコの体は周りにいた人達の一部を巻き込みながら派手に後ろに吹っ飛んだ。
さっきまで黙って見ているだけだった人達全員が一気に殺気立つ。
その殺気の先には…何もなかった。
「サキ、お前はとっとと逃げろ」
「なっ…! カケル!?」
今度は私の後ろから声が聞こえ、手足の縄が解かれていた。
「あんた、なんで後ろにいんのよ!」
「グダグダ言ってないで早く逃げろ! でないと…ってもう遅いみたいだな」
そう言われて周りを見ると、私達は鉄パイプや拳銃、日本刀など持った物騒な人達に囲まれていた。
「ったく…サキ!」
「なに!?」
「生きて帰りたいなら…適当に逃げてろ!」
「分かっ…ってちょっと!!」
私が反論する前に、カケルは私の前から姿を消していた。
それと同時に目の前を何人もの人が吹っ飛んでいった。
―――――――――――――――
カケルが戦い始めて三分二十六秒。
俺たちはずっとそこだけを見ていた。
「あ、見失った!」
「サキの近くにいる。ちょうど裏拳で二人殴り飛ばしているぞ」
「あ、また見失った!」
「今見てる所の手前だ。黒服に顔面に膝蹴りしている」
「…また」
「俺達から見て右側の方で日本刀を手刀で叩き割っている」
「……」
「やっと起き上がってきたスキンヘッドの股間にライダーキックかましてる…っん?」
視線を感じた方を向くと、俺はヒカルに凝視されていた。
「…レイ、聞きたいことがあるんやけど」
ヒカルの目は疑いを含んでいた。
「なんだ?」
「レイはなんでカケルの位置が分かるん? てか、カケルはどうして瞬間移動できるん? それに、あれだけ敵がいるのに無傷はおかしいやろ?」
一部訂正、ヒカルの目は好奇心の塊だった。
「そう質問攻めにするな」
俺は、彼の期待にこたえることにした。
「最初の質問の答えは簡単。俺は人より長くカケルの近くにいたから、大体予測できる」
そう、小学校から今までカケルと一緒だった俺は、世界で三番目に彼と共にいる。
彼は一人暮らしをしている。
両親はもういないらしい。
だから、俺は『彼女達』の次なのだ。
(どんなに振り回されてても、大切なんだな…)
「レイ? どうかしたか?」
「んっ、なんでもない」
思いに耽っていた俺は、目の前のヒカルをすっかり忘れていた。
「…ちょっと間が空いたが気にするな。あと二つの質問の答えはな……」
そう言って、俺は小さな戦場を指差す。
「今までの二人の様子を見てたならよく分かるはずだ」
俺の指が差した先の丁度先には、黒服二人に襲われそうになるサキと、その二人をハングリーツリーで仕留めるカケルがいた。
カケル「今回も作者はいないな」
ヒカル「その代わりこんなんがあったで」
カケル「なに?」
ヒカル「『対主人公用核弾頭ミサイル・テポドン零号発射ボタン』だっ…ヘックション!」
ポチッ
「「…………!!」」