5、ヘタレチキンは見て見ぬふり
シリアスに突入! コメディなのにスンマセン…
保健室を出てから数分で教室に着いた僕は、拍子抜けしていた。
理由はただ一つ、サキの強襲がないから。
僕の予想では『スナイパーライフルを、イングラムM10サブマシンガンに切り換えたサキに蜂の巣にされそうになる』確率が高かったんだけど…
「よかったぁ、今日は普通に帰れそうだ」
僕は無事に戻れたことを神に感謝しながら、自分のバックに手を伸ばす。
「帰ったら寝よ…ってうぉ!?」
僕が触れる前にバッグが揺れる。
「って、携帯入れてたんだった」
携帯の着信で驚くなんて…僕ってやっぱ臆病者だな。
僕が自虐的になりながら携帯を見ると、ディスプレイ『和泉玲』と出てた。
「もしもし、レイ? レイから電話してくるなんて珍しいね」
〔あぁ、緊急の連絡だ。これから言うことは全部聞いてくれ〕
レイは冷静に話してるけど、声は焦ってるみたいだった。
「緊急の連絡って…?」
僕はその声から、直観的に不安を覚えた。
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カケルとの電話を終えた後、すぐにメールを送信した。
これで俺のやるべきは終わった。
後は……
「誰に電話してたん? 彼女?」
ヒカルは興味津々な目線を俺に送ってくる。
メールを送信していたことは気づいていないようだ。
「残念、相手はカケルだ」
「なんや、噂のクロネコヤ〇トかいな」
ヒカルはつまらなそうに軽い口調だった。
しかし、カケルは某運輸会社じゃないぞ。
「つまらないか?」
「つまらんわ」
「だったら、今から面白い場所行くか?」
「イクイク!!」
「完全に『ウ○くる!?』のノリだな」
それにヒカルの顔はかなり嬉しそうだ。
「それでどこいくん? 北の将軍様に会いに行くん?」
「…さすがにそれは無理だ。しかし、暇つぶしにはなる」
「了解。ほなレッツゴー!!」
ヒカルは場所も知らないのに、先に歩きだした。
「…ヒカル、こっちだ」
電話先でカケルが『俺』と言ったことを聞き逃さなかった自分の耳に感謝しながら、俺はその場所に向かい歩きだした。
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「はぁ…面倒クサッ」
昇降口から外を見ると、すでに空が赤く染まっていた。
「長電話し過ぎたな…」
レイからの電話の内容は、サキが誘拐されたということだった。
丁寧に監禁場所や犯人の数、犯人達の個人の趣味やフェチズムまで、ありとあらゆる情報まで教えられた。
レイがどこからそんな情報を得ているのかは、腐れ縁でも分からない。
「ったく、レイも何考えてるんだか…」
場所を教えるのは『そこに行く』って決定してるようなものだ。
「…行くわけないのに」
誘拐されたなら警察が救ける。そんな事が起こる場所に行く必要はない。
そう、チキンは逃げる。
ヘタレは見て見ぬふりをする。
それだけでいいじゃないか。
わざわざ面倒に近づく意味が分からない。
せいぜい、このことでサキが被害者の心を知って、攻撃がなくなることを祈るまで。
「そろそろ髪切ろ」
さっきまで気にならなかった、伸びた後ろ髪が妙に邪魔くさい。
バッグに入ってた黒い紐で後ろ髪を一本にまとめる
「さて、出前でも取るか…」
髪をまとめ終わった俺は、バッグと携帯を手に校門の外へと歩きだした。
カケル「さ、作者め…俺を殺す気か!!」
ヒカル「そうやと思う」
レイ「右に同意」
カケル「くぅ〜ッ! 今回ネタ切れで字数稼ぐの必死だったくせにぃ!!」
プチッ
カケル「……何もしてこねぇ! ついに自分の非を認めたか!」
ヒカル「作者、キレたな」
レイ「今度の後書き俺パス」
作者ノ怒リ、次回爆発ウゥ!!