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最終話中編、戦女神の純粋な涙

最終話は、前編→後編の予定が、葬式等の私事のせいで前編→中編→後編になりました…

…………ハッ!!


やっとVTRの準備出来たか!


てか遅いわ!!

82周したわボケ!!



…まあ、追跡してくる方も次々脱落してって、今残ってるのは、ムサい体育教師数名と肉体派親衛隊で執念深いのが数十人と減ってきた。(先陣は田中)


その間に、サキは人の上で暴れるわ、アヤさんは昨日見た夢の内容をやけに詳しく話してるし…



「手術、終わったら、ガマン、できなくて…それが一回目」


「カ〜ケ〜ル〜!! 手術後すぐに…いや、手術中に起きなさいよ!!」


「いや!! 薬で眠らされてたんだから無理だろ!! てかアヤさん、それはきっと夢です! 定番夢オチです!!」



「…かーくん。事実から、逃げちゃ、ダメ。…それとも、私との、キス…イヤ?」


担いでるから顔は見えないけど、アヤさんの小さな声が、切なそうに聞こえて…


「べ、べつにイヤとは言ってませんよ。…むしろ、アヤさん綺麗だし、優しいし、昨日辺りからやけに色っぽいし……そして、サキはトカレフをしまえ」



ったく、何でサキはアヤさんをほめてるだけなのに、銃口を向けてくるんだ?



「だってカケル、アヤ姉ばっかほめて…私だって…ほ…しい……」

「はいはい、文句は後にしてくれ。それより、そろそろ鬼ごっこを終わらせよう」


日も暮れてきた。

もう、このイタチごっこを終わらせたい。


「僕が降ろしたら二人とも学校側に走れ」


「かーくん、は?」


そりゃもちろん。


「僕は校門に走って奴らを引きつけ…」

「ダメ!!」


全部言う前にサキに拒否されました…

「って、なんでダメ!? 野郎共は僕についてくるから、絶対安全だぞ?」


これは今出来る一番最良の方法だ。

それをなんで否定する?



「…一緒にいる…そう『約束』したでしょ」


……ったく、しゃあねぇな。


「…じゃあサキ、僕の右ポケットに黒い皮紐がある。その紐で僕の後ろ髪を縛ってくれないか?」


「…たく………あった」


サキは、ブツブツ言いながら僕の右ポケットから紐を出したみたいだけど、髪を縛る様子はない。


「おいサキ! さっさと…」

「…縛る理由は? 私のメリットは?」


…おいおい、読者も分かるようなことに説明が必要なのか?


「これから『新月』を使ってスピードを上げ校内から脱出。それでも追ってくる奴等には、気配を消して帰宅ラッシュ&夕方バーゲンの集団に紛れ込んで撒く」



三十六の兵法なんかより、結局は逃げるのが一番なんだよ!!


それにこれならサキとの『約束は』守れる。

後はサキを納得させるメリット…


「…逃げ切った後に、お前の言うこと、実現可能な一つだけ聞く。ただし『死ね』や『逝け』は人道的に無理だからな」


「かーくん、私も…」


「分かった分かった! とにかくここから逃げ切れりゃいい!!」


僕が今出せる最高の交渉カード×二枚を提示した!

相手方の答えは……


「…わかったわ。男なんだから約束は守りなさいよ」


ウッシャ! 交渉成功!!

どんなこと言われるか分かんないけど、実現可能な範囲ならなんとかなるだろ。



「無論だ、じゃあ次のVTRが終わるまでに頼む」


「しょうがないわね。じゃあ、まかせなさい!」




んじゃ、授業とかは解説でチャッチャと終わらして、放課後からの回想VTR第二段スタート!




■■■■■■■■■■■■■■■




アヤさんを置いて学校に行った僕は、サキの強襲もなく、アヤさんに会うこともなく、僕は珍しく平凡な学生生活を過ごしていた。



しいて言うなら、レイに


「己で平凡が珍しいと言っている時点で末期だ」


と宣告され、ヒカルに


「あれが『新月の黒猫』なら、いつものカケルは『月下の金鶏』って感じちゃう?」


と、格好良く『チキン』と言われたぐらいかな。…ぐすっ(泣



二人には散々に言われたけど、情報提供者のレイと、最後までサキを送ってくれたヒカルに感謝していた。

(レイは警察への通報や、スキンヘッド野郎の処理をしてくれたらしい)



そんなこんなで授業を終えた僕は、放課後に田口さん(基本装備・国語辞典)の放送で生徒会室に呼び出されていた。


でもなんで? 俺は生徒会に所属してないし、生徒会に喧嘩を売った記憶も買った思い出もない。



…まあ、入れば分かるだろ。

僕は高級感漂うドアを二度ノックをして、『どうぞ』の言葉も聞かずにドアを開け、そのまま生徒会室に入る。


部屋の中は教室二つ分ほどあり、その中心には、大手企業の重役達が会議をするような机と椅子が、独特の雰囲気を醸し出しながら設置されていた。


そう、僕が財閥にいた頃に見た部屋とそっくり…




「珍しいじゃない、アンタが私に後ろを取られるなんてさ」


「なっ!? なんでお前がここに!?」


後ろからの声に驚いて振り向くと、そこには…




「生徒会長が生徒会室にいる…普通のことでしょ」


目の前にいるのは、栗色のポニーテールの強気少女。



…忘れてた。

サキが生徒会長だってことを…



「まあ、座りなよ」


僕はサキに勧められた通り、いくつもある椅子のドアに一番近い一つに座って、背もたれに寄り掛かる。


サキは椅子には座らず、僕の近くの机に足を組んで座った。


生徒会長がそんなことしていいのかよ…って校内で射撃してるやつに言うことじゃねぇな。


「でカケル、私が今日あなたを呼び出したのは他でもない……昨日のあなたはなに?」



………完全に私事で生徒会長の名前使ったな、おい。


「まあ、あれを見たからにはお前にも知る権利はあるな…」






僕はサキに新月や四谷財閥にいた頃のこと、二年前の事件についてカクカクシカジカ話した。




「ふ〜ん、だからカクカクシカジカだったのね」


「…ちゃんと納得してるならそれでいい」

カクカクシカジカで分かったのか…?



「で、部屋に入ったときの質問だけど…いつもの俺は新月と違って、殺気とか敵意、武器の威圧感を感じて逃げてるんだ」


ま、この殺気感知スキルと超高速の逃げ足はサキに追い掛けられて身につけたものだけどな…


「今日のお前は武器も持ってないし殺気を感じなかった。だから、全然分からなかった」



「…なるほどね」


…遠回しに『いつも殺気出してる』って言ったのに納得した!?


ならストレートに言ってみるか…


「まあ、お前が僕に殺気を向けないなんて…ツチノコ捕まえるぐらい珍しいな」


「……………」


サキは黙って俯いてしまった。

…やっぱ怒った?



「んじゃ、話も終わったことですし、僕は帰らせて頂きま…っ痛てぇぇえええ!!」


この部屋から逃げ出そうと思った僕は、サキに左腕の切り傷を思いっきり掴まれて、その痛みに絶叫した。


「お前、なにすんぎゃぁぁああああ!!」


今度は左腕の傷を掴まれて、激痛に顔と声を歪めた。


な、なんでそう的確に傷口を掴むかな…



「…バカ……全身ケガしてるクセに無理してんじゃないわよ…」


「なっ、なんで知ってる!? …ってそれっ!?」


俯いたままのサキが片手を掴むのをやめて、ポケットから出した携帯には


『かーくんはケガしてる。かーくんは平気そうな顔してるけど、普通なら動けないケガ。無理させないで』


と書いてあるメールがあった。



…送信者は聞かなくても分かるでしょ?



「……アンタの力なら普通の銃弾当たらないはず……そのケガ全部、私をかばった傷でしょ…」


…やっぱり、二回も目の前で受けたらバレるか…



「僕はお前等を守る楯だ。楯が弾や剣を受けぇぇええええ!!」


今回三度目の激痛ぅううう!!

肩がぁ!? 肩がぁぁああ!?



さらに、サキから怒りの念を感じてきた…


生命の危機を感じた僕は、急いでサキの手を振り払い、生徒会室のドアに向かって走り、そのドアノブに手を掛けた。



「んじゃ!! 俺はここで失礼しまっ…って殺気!?…ブベェッ!?」


ドゴン! ビキッ! バゴーン!! チュドーン!!




えぇ…状況を確認しよう。


〈…って殺気!?〉=サキが迫っているのを感じ振り向く。


〈ブベェッ!?〉=サキが僕の腹部にタックル。


〈ドゴン!〉=勢いのままドアに激突。


〈ビキッ!〉=ドアの金具が破壊。


〈バゴーン!!〉=ドアを破壊して、二人とも廊下に飛び出す。


〈チュドーン!!〉=!!?




はっきり言ってケガ人に無理させてるってこれ。


…えぇ、そして僕はヤバい状態になってます。

なにせ、僕はサキに馬乗り…プロレスで絶対有利のマウントポジションを取られてるんですよ。


あぁ、これから殴られたり、首絞められたり


「…バカッ!!」


そうそう、バカって言われたり


「…私達守っても…自分が死んだらどうすんのよ!?」


うんうん、僕の覚悟に文句言われたり。


「このバカァ………………」


黙りこんで泣きだしたりしてね………って!?


「サキどうした!? なんで泣いてん…ッ!?」




サキは、その泣き顔を見てかなりテンパってた僕に、倒れこむように抱きついてきた。



「…グス……カケルぅ……一緒にいてょ……もぅ…いなくなんないでよぉ……ずっと…ずっとそばにいてょぉ…」


僕に抱きついたサキの体は、小刻みに震えていた。




サキは、いつもみんなの先頭に立っていた。


自分が泣きたくても我慢して、泣いても人には見せない。


そんな強気な彼女は、人に涙を見せず、ただひたすら突っ走ってきた。



だけど、僕は彼女の涙を二回だけ見た。


最初は…僕が両親をなくして、みんなから離れようとしてた時。


次が今、彼女は目の前で大泣きしている。



そして、サキは一度涙を流すと、我慢してた反動でアヤさんよりも甘えるようになる。




てか、姉妹揃って〈抱きつく→泣く〉パターンかよ。


…昔から弱いんだよな、その組み合わせには。



「……カケルはぁ…楯なんかじゃぁないょぉ…カケルはカケルなんだからぁ……グス……そんなこと言わないで…」


サキの嗚咽が大きくなるほど、僕の体を締め付ける力が徐々に強くなる。



締めつけ&ドアに全身を強打したせいで、全身の傷が痛い。


傷、開いたかも…でも、新しい弾痕だらけの高校生が病院には行けねぇよな…


朝のことがあるから会いづらいけど…後で保健室行こ。


今は……しばらくはこのままでいてやるか。


「分かった。でも、話す前に…泣きたいだけ泣きな。…いなくなったりしないからな」


僕はサキの頭を撫でながら、その涙が尽きるまで痛みに耐えることにした。



……痛たたた





作者〔ジ○ン軍伝統必殺奥義…〕               

カケル「…!! 空が! 空が落ちてくる!?」                       

作者〔コロニー落しぃぃいいいい!!!〕                          

カケル「ニュータイプは伊達じゃない…って俺は伊達カケルだ…ギヤァァァアアアアア!!!!」                

作者〔悲しいけど…これって戦争なのよね〕                         

※ガンダムネタです。知らない人マジでスイマセン(汗

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