桜の思い
それは、俺の妹を想う気持ちから始まった。
二年前、妹はまた倒れた。
ちょうど、中学校の入学式の前日。
桜は幼稚園まで一緒に通っていたが、小学校生活は全て病院で過ごした。
それでも一生懸命頑張って、中学校には行きたいと願って、ついにそれが実現した。
桜は凄く嬉しそうだった。
なのに、前日に倒れた。
俺は病室でずっと、桜に付き添っていた。
「・・・お兄ちゃん、明日入学式でしょ? もうゆっくり休んで?」
「そんな、また桜をおいて、俺だけ学校なんて・・・」
「仕方ないよ。私はもう、こういう運命なんだよ・・・」
泣きそうに言う桜を見ていられなくて・・・
「俺たちは双子の兄妹なんだよ。何でも悲しいことを一人で抱えようとしないで」
でも、どうやって励ましたらいいのか分からなくて・・・
「言いたいこと、やりたいこと、今思ってることは、はっきり言って? こんな運命だなんて、決めつけないで、ほら、未来はいくらでも変わるって!」
もう、これがいっぱいいっぱいで・・・
「・・・おにいちゃ・・・っ・・・」
桜を抱きしめて言葉を待つ。
「わたし・・・がっこ・・・いきたかっ・・・た・・・ちゅうがっこ・・・たくさん友達・・・つくりたかっ・・・た・・・」
肩にしみていく雫には桜の今までの思いがつまってて、胸が苦しくなった。