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ふれないで
私と麗が喧嘩したという噂はすぐに広まった。
いつも一緒にいたのに、いきなり離れて口の交わさないのだから言わなくても「喧嘩」だというのが分かるだろう。
私はいつも通り、人に囲まれていたが麗は一人だった。
たまに色々な人と話しているみたいだったがあまり一緒にはいないようだ。
私はその姿をみて「楽しい」と思ってしまった。
大好きな麗が一人ぼっちで誰からも相手にされていない。
麗と喋っていた友達も今は私のところにいる。
精々私の有難味を理解すればいいと心な中で笑う、そんな日々だった。
◆
もうすぐ一か月がたとうとしていた。
もうずっと言葉も交わしていないし、電話もメールも一切していない。
そして、私は麗に対する恋心がなくなりかけていた。
もう、何にもムカつかないし、どうでもよくなっていた。
あんなにも好きだったのが嘘のようだ。
「そうだ、桜のお兄ちゃんってどんな人?」
突然、聡美が兄の話をし始めた。
「双子なんだよね? 見てみたいなぁ」
「違う中学校だよね?」
「あ・・・うん・・・」
「そっくりなの?」
予想していなかったいきなりの質問に焦った。