恋愛ごっこ 3
家に帰る途中、近くにあるスーパーによってブドウのゼリーを買った。
今、家には妹が一人いる。
私とそっくりな妹。
一応、二卵性の双子なのだが、何故かよく似ている。
「おかえり」
リビングのドアを開けると、妹がいた。
「寝てないとだめじゃん、大丈夫なの?」
「うん。今日は少し楽なの」
妹は病気だ。
小学校に入学する少し前に突然病気になってしまった。
気管が弱く、よく発作を起こし、ずっと入院していた。
ここ二年くらいは自宅療養をしている。
両親は約五年ほど家にいない。
仕事の関係で、海外にいる。
最近唯一姿を見たのは、去年の祖父のお葬式だけだ。
「ブドウゼリー買ってきたけど、食べる?」
「食べる! ありがとう」
◆
学校は憂鬱だった。
私(麗)は桜と喧嘩してしまった。
相変わらず桜の周りにはたくさんの女子で溢れ返っている。
その中で私は一人ぼっちだった。
私にはそれほど仲の良い友達がいるわけではない。
いつも喋る時だって、桜がいたから喋れるようになっただけ。
私は毎日、本を読んで過ごすこととなった。
そもそも最初から友達なんていなかった私が桜と一緒にいるようになったのは、昨年のことだ。
ここの中学に来て初めて言葉を交わしたんが、桜だった。
その時はただ挨拶しただけで、特別な感情なんてなかった。
なのに、いつのまにか好きになっていた。
無意識に視線を追うようになり、三学期に思い切って告白をした。
そんな同性からの告白なんて「キモイ」と思われて、バカにされる。
もう、どうにかなれ!と、半ばやけくそに告白をした。
まさか、「いいよ」なんて言われると思っていなかった。
そして、交際が始まった。