*プロローグ
クレヨンみたいな青。
ふと眺めたこの空をなんて表現しよう?
乏しい知識をフルに回転させてしまうくらい、
青い青い空が広がっていた。
今すぐ窓から飛び出そうなんて思わないけど。
一度くらいあの空を飛んでみたいと思わないかい?
今なら飛べそうな気がするんだ。
悔しいくらい果てなく広がるこの空に?
いいえ。
大きなあなたの胸の中に。
…なんてね。
「あやか、プリントの5番なに?」
「え?」
あい きゃん ふらい
自分の妄想が走り書きされたわら半紙に目を下ろした。
思わず思考もトリップしてしまうような空の下。
僕たちは、毎日同じこの学び舎で、同じ時間を過ごしてゆく。
歴史とか政治とか、ムズカシイ事はわからないけど、
希望や後悔の渦にのまれながらも
不器用に、一生懸命生きているんだ。
カラダほど成長していないココロで、
傷つきながらも必死に、自分と戦っているんだ。
悲しいとか、悔しいとか、どうしてこんな感情があるのだろうとか。
嬉しいとか、楽しいとか、確かに噛締めているんだ。
どうやっても流れていく時間に、等身大の自分を乗せて。
今日も、青い空は広がっていた。
「ナイッシュ!」
しわくちゃになったわら半紙を丸めてゴミ箱に投げ入れた。