始まりは一本の矢印
初めにこの小説には同性愛表現が含まれます。
BL・GLどちらもあります上に毎回の様に取り入れられてる事を覚悟して下さい。
基本的にコメディーでシリアス要素はほぼ無いです。
それでも一応恋愛にたいする彼等、彼女等の真っ直ぐな思いを私なりに書いていこうと思います。
.北川怜
この作品には同性愛表現が含まれています。
結構さりげなくBL・GL要素がありますので苦手な方はすぐさまご自身の意思でバックをお願い致します。
「…ごめん。好きな人、居るから」
そう言って真宮は大きい二重の瞳を伏せて、申し訳なさそうに顔を俯かせた。
そんな彼女の縮こまる姿も可愛いなあとか、バックに映る紅葉と彼女の黒髪によく合っていてグッジョブ!とか場を考えない事を思っている辺り、俺は相当彼女という存在に溺れていて、本気で恋してるのだろう………あれ?恋?
…ちょっと待て。誰かリピート機能のビデオ持ってこい。ていうか………え?あれ?俺ついさっき、フラれてなかった?フラれてたよな?
あ、ハート割れた。恋、壊れた。
「…あの、橘君」
「え?!うん…有難う!」
「…え?」
「あ、いやいやいや!そうじゃなくて!そうじゃなくて!」
落ち着け、自分。
フラれたのに有難うって何だ。新種のMか只の勘違い野郎じゃあるまいしそれは無いだろ。
いやちょっと待て。そもそもやっぱりフラれたんだよな、俺。くっそ!全世界のカップル滅びてくれないかな。
これは決して妬みじゃないぞ、そういえば塚本の奴、三人目の彼女と昨日別れてたって朝言ってた気がするな。
あいつ本当にムカつくな、神様どうかあいつには天罰をお与えて下さい。
あいつは女だけじゃなく男の敵です。
よし、今のテンションならカッコイイ潔い男を演じられるはずだ。よし、行け!俺!
「…分かった。せめて友達として思う事を許して欲しい」
「良かったじゃない。……プッ」
「てめえ塚本この野郎、何が可笑しい。落とし穴に嵌まれ!」
「だって君、それじゃあ現に潔いどころか未練たらたらじゃないか」
「一年も片思いしてた相手だぞ!?そんなパッと諦めきれるかってーの!」
「……君、性格捻くれてるくせに結構純粋で一途な所あるよね」
「俺が純粋で一途なのは今更だろーが」
牛乳パックを片手に持ち、サンドウィッチを頬張りながら当然の事の様に 目の前で美味しそうにフルーツジュースを飲んでいる塚本に向かって言ってやると、塚本は何言ってんだとばかりに呆れた様子で俺の方をみるが、やがて何も言わずに視線だけ逸らして足を組む。
「おい、お前その足を組む癖やめたんじゃなかったっけか?何でだか忘れたけど」
「今朝別れたばっかの彼女に言われたんだよ。んー…まあ、もう別れたからいいかなーって」
「そうかそうか。お前はやっぱり落とし穴に嵌まった方がいいぞ」
「まーまー!本題に戻ろうよ。結局どうすんのさ?」
「…どうするってたって…」
未だに認めたくはないが俺は一度フラれた身である上に、真宮には他に好きな人とやらが居る。
引くしか道がないじゃないか。
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